鬱蒼と茂る竹林を僕はがむしゃらに走った。少なくとも戦場の音、つまり爆弾が爆ぜてビームの飛び交う物騒な音から離れていけばとりあえずは安全なはずだ。

時に足をもつれさせながら、時に笹の葉が顔に刺さりながらも僕はとにかく前進していった。音から離れるように、奴らから逃げおおせるように。

戦場の喧騒は次第に遠くなり、そしてとうとうピタリと止んだ。よし、どうやらあの九尾の狐を撒くことが出来たようだ。僕の居場所も分からずじまいだが、じっくりと考えていけばいい。なんならそこらの草木や竹で新しい道具を作り出して活路を見出すのだって悪くはない。

藍「やれやれ、それで逃げおおせたつもりなのかい?」

ゾクリとした。いない筈の藍が低空を浮遊しながらこちらを見下ろしている。

そんなっ、どうして? あくまで僕の体感ではあるものの、かなりの距離を進んできたつもりだ。何せ戦場の音は全くしなかったから……いや、いやまさかっ!?

藍「ドンパチする音がしなくなったのは君が距離を取ったからではない。私が戦闘を手早く終わらせたからだ」

勝ち誇ったように僕を見下ろす。姿こそ確認していなかったものの、あれだけの軍勢を倒したか、または退けたのだろう。この大妖怪にはまったく敵わない。この時ほど僕の心がズタズタになりポキリと折れたことはないだろう。体の芯から力が抜けて僕は膝から地面に崩れ落ちた。

が、運命はまだ僕に味方していたのだろうか? いや、あくまで僕を弄ぼうとしているのだろうか。真相は定かではないが幻想郷の住民ならざる風貌をした怪物たちが藍の後ろから迫ってきていたのだ。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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