そして嫌な予感というものはどうしてこうも的中してしまうのだろうか。
あの九尾が式神を引き連れてもう追いついてきたのだ。
奴の式神と言えば黒猫の「橙」の筈なのだが、引き連れているのは彼女だけではなかった。何から不思議の符を張り付けられて藍と連れ添うのは先程のゴーレムの取り巻きだった巨大戦艦達。
霖之助「まさか……。いかんっ、全速力で距離を取るんだ!」
ブーストコア「えっ?」
自らの仲間の形を取る存在に気を緩めてしまったブーストコアのバーニアがわずかに途切れる。その時を待ち構えていたとばかりに藍の後ろで不気味に浮遊していた円盤型の巨大戦艦が一直線に突っ込んでくる。
咄嗟のことだったのか、ブーストコアは回避が間に合わずに正面衝突。円盤は爆ぜた。動きが鈍ったところをさらに別の巨大戦艦がぶつかっていき、そしてやはり爆ぜていく。外装の剝がれたブーストコアはようやく身の危険を感じて逃げに入ろうとする。
藍「逃がしは……しないよ。やれっ、テトラン!」
4本の触手をぐるんぐるん回転させながらブーストコアに体当たりした。頑丈な装甲で守られていたコアにひびが入り、砕け散るとバーニアを携えた巨大戦艦は爆発四散してしまった。もちろん僕も地面に投げ出される。
霖之助「なんて奴だ。さっきの外来人達を式神として使役したのか? あの早さで?」
僕が動けないのを確認すると藍と橙も地面に降り立ってじりじりと詰め寄ってくる。
藍「そういうことだ。私の能力は『式神を操る程度の能力』なのでな。あいにく急ごしらえ故にロクな知性は与えられなかったが、特攻させる分には何ら問題ない。侵略者に相応しい末路と言ったところだな」
こうなれば僕だけでも逃げようと振り返るが、すかさず黒猫の妖怪が背後に回り込んでそれを阻止する。
橙「シャー!」
爪をむき出しにこちらを威嚇してくる。ああ、これでは打つ手なしだ。
藍「まったく手間をかけさせる。お前を、いやお前の記憶を逃がすわけにはいかない。これが幻想郷の為なのだ。それでもあくまで自由に固執するというのなら……」
冷たい鉄を叩いたかのような心のない一言。
藍「橙、その嘘つき野郎を始末しろ。そのあさましい道具屋を肉体から自由にしてやれ」
命を受けて橙が瞳を冷たく光らせてこちらに迫ってくる。
僕もここまでか……。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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