いつの間にか俺の頭上にふわふわと浮かぶのは青い天女……いや、幻想郷に住まう何者よりも無垢で無邪気な悪!

貴方「霍青娥っ!!」

頭上を見上げ、俺は反射的に奴の名を叫ぶ。何故か純狐までもが反応していた。嫦娥と間違えたのだろうか?

今一番野放しにしてはいけない存在。幻想郷を進化させる大義のもと、この美しい地を破壊し尽す危険な女だ。首尾よくシーマと首領蜂隊がぶつかり合わせ、幻想郷を半壊させた様子を思い出し、俺は吐き気を催した。

青娥「そう、意思に反するものは排除。素敵な計画を進めるためにはどうしても必要なのよねー」

そうやってのんびりと構えながらおもむろに首を垂れて簪を取り出す。まさかっ!?

青娥「お前は甘すぎる。あの魔住職にでも感化されたか? 目的を達するための闘志はどこへやった」

ドスの利いた暗く重たい声。そんな彼女が手にする暗器は純狐ではなく奴の真下、つまり「ジ・エンブリオン」に向けられていた。直後、胸のコアにぽっかりと穴が開くと、そのゲル状のボディがボタボタと地面へと落ちていく。

あのシーマの総大将が一撃で……! いや、彼女にとっても今のは完全な不意打ちだった。戦闘態勢をとるまでもなく殺められたのだろう。ジ・エンブリオンはあくまで戦いではなく新たな命を生み、育み、慈しむのが本来の役割。

そして次に狼狽える純狐にその冷徹な青い瞳が向けられる。

青娥「お前は器が小さすぎる。それこそ世界をひっくり返すほどの力、そして冷徹さを持っていながら、人一人にどこまでも執着して……、だから大成できないのよ」

純狐に向けて簪を突き出す青娥。すると、ゲル状のジ・エンブリオンのボディが彼女にまとわりつき始める。

純狐「なんのつもりだっ!?」
青娥「うふふふ。だからね、貴女達の願いを叶えてあげるのよ。破壊、殺戮、蹂躙、支配……何もかも思いのままの、素敵な素敵な……」

完全に純狐を包み込んだゲルは赤色に変色し、そしてその両腕から鋭い爪が生える。まるでジ・エンブリオンをより攻撃的なフォルムにしたような、現実の生き物に例えるなら深紅の色に染まったアオウミウシのような……。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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