俺の必死の叫びもむなしく、火球はクリムゾンナイトメアの腹部に一直線に向かっていく。
依姫「なにっ!?」
果たして俺の懸念通り、青娥は策を用意していた。クリムゾンナイトメアは薄青緑色に光る球状のバリアを抱えていたのだ。そこに依姫の炎は着弾し、完全に防ぎきってしまう。ちくしょう、もっと早く思い出していれば依姫を止めることができたというのに。
貴方「依姫っ、すぐに逃げるんだ! そこに居続けてはいけない!」
奴が抱えている光の球はただのバリアではない。あれはバースト機関による強力な攻撃を吸収してしまう「バーストイーター」と呼ばれるものである。そしてアレの真価はそれでは終わらない。俺にはそれが分かっていたから、だからこそ叫んだ。
青娥「もう遅いっ! 己の力に溺れて自滅するがいいわ!」
バーストイーターから光弾がいくらか発せられる。それはアールバイパーのダブル系兵装「ハンター」よりも素早く、そして火力も比べ物にならない挙動であった。
依姫「ダメだっ、振り切れない!」
踊り子の神様を降ろしてステップを踏むように光弾から逃れようとするも、その獰猛さは尋常なものでなく、何としても食らいつかんとばかりに執拗に依姫に襲い掛かり続ける。あれでは被弾するのも時間の問題だ。
貴方「やはり、『バーストイーター』か」
こちらにも押し寄せてきた光弾をかわしながら俺はクリムゾンナイトメアと対峙する。
青娥「さすがは○○ですわ。大正解♪ よくできているでしょう? バースト機関だけでなく、スペルカードや今のような規格外の強力なエネルギーにも反応してくれるのよー♪」
恐らくは着弾するまで追い続けるものだ。こうなっては仕方がない。避けることが不可能ならば、受け止めるしかない。
貴方「やれるかっ、ゆっくり霊夢?
白鈴『大食い勇者アレックス』
だ!」
見たところ光学兵器なのでフォースでは受け止められないし、盾としてリモートバーストを用いるのもバーストイーターの前では非常に危険だ。そうなるとゆっくり霊夢の力を借りるほかない。
勇ましく大きな口を開けて光弾を迎え撃とうとするが、元が依姫の放った炎なのだからそのエネルギーは尋常ではなく、ゆっくり霊夢では受け止めきれずに弾き飛ばされてしまった。
ゆっくり霊夢「きゃう!?」
貴方「だ、大丈夫か!? 戻っ……うわあああ!」
追撃をさせないために慌てて彼女を格納しようとするも、かなりの勢いで飛ばされたらしくアールバイパーに激突、こちらも大きく弾き飛ばされた。どうやら依姫も結局被弾したらしく刀で自分の身を支えながら膝立ちになっている。
何とも恐ろしい敵を相手にしてしまったようだ。またしても依姫の強さが仇となってしまう相手といえよう。ならば取るべき道は一つ。膝をつく依姫を、今も不安な表情を浮かべるサグメを尻目に、俺は赤い脅威に立ち向かう。
青娥「役者は揃ったわ! 今から素敵な計画を開始する! そう、地球と月を股にかけた素敵な素敵な……計画を!」
祝砲のつもりなのか、空に向かってバーストビームを発射するクリムゾンナイトメア。いや、アレは単に余裕ぶっこいているわけではない。地球に潜伏している首領蜂隊をこちらに向かわせる狼煙の役割だ。青娥の「計画」、それはつまり強大な力と力をぶつけあうというもの。
こうなっては被害が大きくなる前にクリムゾンナイトメアも、背後から迫りくる首領蜂隊も手早く倒さねばならない。あの惨劇を回避するためにも……!
銀翼と妖怪寺Re:∀CT IV後編に続く……
名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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