気が付くと俺は守矢神社にいた。紫によって強引にここに連れてこられてしまったのだろう。さらに眠気も頭の中に残っていた。どうやら眠りこけてしまったらしい。確かに俺は消耗していたようだ。

建物から出て、空を見上げるとうっすらとドーム状の光の膜が見える。さらに目を凝らすとそこに赤黒い血管みたいなものが血走っているものも。

血管は、幻想郷上空で不気味な沈黙を続けている「石のような物体」から放射状に広がっていた。

貴方「あれは……」
紫「『博麗大結界』が侵食されているのよ。これこそ奴の目的。結界を乗っ取って『幻想郷を進化させる』を旗印にあいつらの楽園にする。それこそが本当の野望」

視線を守矢神社内部に移すともはや絶望ムードであることが見てわかる。特に早苗が深刻だ。

そりゃそうだろう。あの黄金の八面体が本当に「石のような物体」だとしたら、もはや俺達にどうにかする手段はないのだから。俺や早苗は奴の脅威をよく知っているからこそより深く絶望しているのだ。

早苗「もうおしまいです……。アレは神様、地球の意思そのものなんです」
神奈子「早苗、今ここにいる私達も神様なんだけど?」
諏訪子「そうだそうだー!」

二人……いや、二柱の神様がどうにか気をしっかり持つようにと励ましている。

早苗「そんなこと言ったって本体は傷つけられない、取り巻きは倒しても倒しても生み出される。こんな化物みたいな相手にどう立ち向かえっていうんですか!?」

ううむ、八百万の神というかアレは創造神みたいなものだ。確かに神奈子達と同列とは思えない存在である。何度も言うが俺だってどうすればいいのか分からない相手だ。

今は紫がいるとはいえ、彼女の取った選択は八雲亭への急襲ではなく、撤退であった。奴らをただ倒せばいいわけではないと言っていたな……。

自然と視線が紫に行く。いったい何を考えているのか、それを俺は知るべきだと思った。

貴方「どうしてあそこで撤退させたんだ? 紫のスキマを使えば結界だろうが何だろうが通り抜けられる。今みたいに態勢が整う前に攻撃だって出来た筈だ」

紫は神妙な面持ちで俯きながら、ぽつりぽつりと言葉を紡ぎ始める。

紫「それは貴方が、○○が私達の最後の希望だからよ」



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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