青娥「動くんじゃない○○」

突き刺さるような冷徹な声は真後ろからのもの。振り向くと鋭い簪を持った青娥の手がアールバイパーの内部に入り込んでいたのだ。しまった、壁をすり抜けられる程度の能力だ。

リデュース中は俺自身もコクピットから出入りできないし、もちろんああやっ無理やり中に入り込むことも不可能なはずだが、それを解除した瞬間を狙ったんだ。

更に悪いことに簪はサグメの口の中にまるで突き刺すようにあてがわれており、彼女の能力が使えない。迂闊に何か喋ればそのまま喉を突き刺すつもりだろう。

青娥「言う通りにしないと、この娘の命はないものと思いなさい」

ここで歯向かったら本当にやりかねない。俺は操縦桿から手を離すと戦意がないことを示すための両手を上げた。

大丈夫だ、俺達にはオプションがいる。隙を見計らいコンパクに背後から攻撃をさせれば窮地を脱することは出来る。

貴方「やれっ、コンパク!」

勝ち誇った青娥の背後からアールバイパーのオプションとして展開されていたコンパクの名を叫ぶ。すぐさま妖夢と瓜二つの姿に変ずると青娥めがけて刀を振りかざす。

だが、青娥の影に隠れていたアリジゴクのような生体兵器「オプションハンター」が飛び出してきてコンパクに喰らいつく。しまった、あれでは魔力を一瞬で失ってしまうぞ。

同時に俺の後ろからサグメのうめき声まで聞こえてくる。簪を喉に軽くチクリと刺したようだ。

青娥「わたくしはハッタリでこう言っているわけではありませんの。次に変な動きをしたら、今度こそ喉を貫きますわ……!」

力なく地面に墜落したコンパクを尻目に青娥は冷徹にこう告げる。この俺を、オプションを使いこなすアールバイパーを敵とするのだ。その対策くらいはしっかり練ってくるはずなのだ。

今のは完全に悪手だった。ちくしょう……



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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