果たして豊姫主導のもと、宴は開催された。急ごしらえ故に規模は小さいものであったが、それでも地上では見られないような物珍しい食べ物が卓に満載されていたのだ。

これも月の都がそこまで被害を受けなかったのがあるのだろう。シーマが暴れていたらあり得なかった光景だ。

一見悠長な選択をしたように見えるが、考えてみるとこの豊姫の申し出は意外と理に適っていたりする。豊姫の能力に頼るという以外にも、損傷したアールバイパーの修理は「エンディミオン隊」の機体を整備する玉兎達に任せることが出来るのだから。

あとは月の都のために尽力する俺を監視するという役割だったサグメから報告を聞くという大義名分もあるにはあるのだが……。

豊姫「それでそれでぇ、後ろから見てどうだったの? たまーに凛々しい横顔とか見えなかった? キュンとしたりは?」

なんでこんな内容になってるんだよ! 全く関係のない話題を振り続ける豊姫にサグメは両腕をプルプルさせながら「問題なかった」の一点張り。今も俯いていて表情はうかがい知れない。

豊姫「サグメ様ー、それだけじゃ全然分からないわ? この子の戦い方が何か参考にならなかったかとか、もっと心にこう思ったとか、そういうのあるでしょ?」

僅かに上げた顔からはとりあえず涙目になっていることだけが分かった。

貴方「それくらいにしてあげてくれよ。サグメは俺の後ろで散々怖い目に遭ってきたんだ。俺の無茶な操縦にも翻弄されただろうし、穢れだらけの敵に肉薄することだってあった」

俺も無意識にうちにサグメを守るように豊姫の前に立ちはだかっていた。

貴方「それでも文句ひとつ言わずに俺を信じてついてきてくれた。それが何よりもの答えなんじゃないかな?」

それだけ口にするとチラとサグメの方に目をやる。わずかにコクンとうなずいているように見えた。

豊姫「あらあら、ちょっと意地悪が過ぎたかもしれないわね。お詫びにこの桃のカクテルをご馳走するわ。私はちょっと玉兎達の様子を見てくるから宴を楽しんでいってね♪」

それだけ口走ると豊姫は薄桃色の液体の入ったグラスを強引に手渡すとどこかへと立ち去ってしまった。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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