今まで余裕を見せていた藍が一瞬だけひきつった表情を見せた気がした。対する橙は俯いており、その表情は計り知れない。面持ちこそは分からないが搾り出すようなかすかな声からは悲痛な思いが伝わってきた。
橙「そうやって、いらない式は捨てちゃうんだ……。藍様、橙もいらない式?」
藍「なっ……」
明確に焦りを見せている。だが橙の猛攻は止まらない。
橙「私、ずっと見てきたよ? 式を滅茶苦茶にこき使った挙句、壊してるところ。今だってそうしてたじゃん!」
藍「ま、待て橙。あいつらは悪い奴なんだ。幻想郷を奪って支配しようとする悪い侵略者なんだぞ。さっ、橙は私の誇りだ。お尻ペンペンはもうしないから戻っておいで」
途端に態度を軟化させる藍を目の当たりにし、橙はこちらを振り向く。心配しているような、困っているようなそんな表情を見せて。
ゴーレム「な、なんだよ。俺様はオメーを子分にしたつもりはないぞ? 見るからに弱そうなナリだしな。だから橙ちゃんが思っていることを言うんだ。オメーは俺様の部下でも何でもないからあっち側についたって別に構わないぞ」
照れ隠しのつもりなのか、あからさまにゴーレムが視線をそらしている。そんな脳味噌の化物に橙は僅かに微笑んだ気がした。
橙「ゴーレムのおじちゃんは悪い人じゃないよ! 幻想郷で楽しく生きていくにはどうすればいいだろうってずっと考えてたんだもん。そのためには幻想郷を守っていかないとねとも言ってた。だから……」
今の表情は決意にあふれたものである。ある意味吹っ切れたともいえる状態だ。
橙「だから……式も幻想郷も大事にしない藍様なんて大っ嫌いだ!!」
張り上げた声は決して大きいものではない。だが藍には想像以上に効いたらしく、あからさまに放心状態に陥っていた。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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