(その頃命蓮寺では……)

八雲亭の調査は失敗に終わった。妙な結界みたいなのに阻まれて中に入ることが出来なかったのだ。一体霊夢はどうしちゃったんだ? 香霖は生きてるって言ってたし、藍は死んでいると言っていた。どっちなんだよ!?

ひとまず命蓮寺に戻って作戦会議をしようとした矢先、ドタドタと金髪の妖怪が駆け寄ってくるのを見た。

星「聖、霖之助さんが意識を取り戻しそうです!」

よかった、香霖は無事なのか。目を覚ましたら霊夢のことを聞くんだ。はやる気持ちを抑えつつ、私は住職サマと一緒に香霖が眠りについている部屋に押し入る。

今もあちこちに包帯を巻かれている香霖がウンウンと唸っている。確かにこれは目を覚ましそうだ。私は彼の名を呼びながらさらに顔を近づける。

霖之助「イツツツ……」

目を開いた香霖と私が最初に目が合ったらしい。藍に襲われてるときは苦悶の表情を常に浮かべていたので、このような穏やかな表情は久しぶりに見た気がした。

霖之助「ここは……」
魔理沙「妖怪寺だぜ。私が住職サマを頼ってここまで連れてったんだ。それよりも……」

目を覚まして間もないというのに、私は香霖にズイズイと詰め寄りながら霊夢のことを聞いた。

霖之助「霊夢のことだね。ああ、落ち着いた場所なら全てを話すことが出来る」

上体を起こして香霖が深呼吸をする。そして一息にこう告げたのだ。

霖之助「博麗霊夢は死んでいるとも言えるし、生きているとも言える状態だ。霊夢は重傷を負ったにもかかわらず命に別条はなかった。だが困ったことに、博麗の巫女としての記憶を失ってしまったんだ。今の霊夢は自分を外来人『宇佐見蓮子』だと思い込んでいる」

記憶喪失だって!? 確かにアイツの体は生きているが、博麗の巫女としての霊夢は死んでしまったとも解釈できる。

魔理沙「なぁんだ、それなら簡単だ。大怪我ってことは永遠亭だろう? 私のパワフルな弾幕を見せればきっと記憶を取り戻すに違いない。何ならちょっとグレイズさせてみるか?」
霖之助「いや、そんな単純な話ではないんだ。今回の異変、何か陰謀めいたものを感じる。藍はこの事実を病的なまでに隠し通そうとしていた。当然、霊夢の秘密を知ってしまった僕達も口封じしようとしてくるだろう。僕や魔理沙がここにいることも知っているだろうからいつ襲撃されるかもわからない状態だし、おそらく永遠亭でも何かしらの対策が練られている可能性もある」

やはり一筋縄ではいかないか。藍は何をしようとしてるのか? そして外界の侵略者がこの一件にどうかかわっているのか……?


銀翼と妖怪寺Re:∀CT VIIに続く……

名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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