姿を消した霊夢を見つけるにはどうすればいいのか、真っ先に頭に浮かんだのは俺を慕ってくれている鴉天狗「はたて」の存在だった。彼女は念写をする能力がある。これで霊夢を念写すれば居場所が分かるだろう。そう踏んでみたのだ。
アールバイパーを最大速度で飛ばして向かう先は妖怪の山。真っ暗だった夜空が白みかけており、外の冷気がコクピットにも伝わってきそうな、そんな感覚を覚えた。
しかし、本格的に山岳地帯に入る前に俺は奇妙な感覚を覚えた。魔力レーダーに凄まじい量の反応が見られるのだ。反応の強さから眠っているわけではないことが分かる。新聞屋だから早起きなのだろうか? 俺の脳裏にはそんな希望的観測がよぎるのだが、それと同時にそんなことがあり得ないことも理解していた。胸騒ぎがするのだ。何か良くないことが起きようとしている、そんな胸騒ぎが。
心のざわめきをハッキリと感じ取った矢先、強大な魔力反応が急接近してくる。
貴方「敵かっ!? そこを動くな!」
銃口を向けて警戒態勢を取る。闇夜に紛れて姿を現したのは緑色の帽子を被った黒猫の妖怪であった。
橙「……!」
九尾の狐たる八雲藍といえば式神でありながら自らも式神を使役するほどの大妖怪であり、彼女の式神と言えば今ここで爪と牙をむき出しにしている橙である。俺が藍と敵対しているのはこの子も知っているだろうからもちろん敵であろう。トリガーにかけていた指に力が入る。
今に「シャー!」とか「ウギャー!」と威嚇しながら引っ掻いてくるかもしれないし体当たりをしてくるかもしれない。だが、橙がとった行動はあまりに意外なものであったのだ。
橙「お願い、藍様を止めて!」
発せられた声はこちらを威嚇したり罵倒するものではなく懇願。それもかなり切羽詰まっていることが分かる。
橙が言うには藍が妖怪の山で暴れているというのだ。しかもその目的は表向きには自分を探すためなのだけど、恐らくは念写を使う鴉天狗を確保することということも。
よく見ると魔力レーダーにはもう一つ反応が見られる。橙と思しきものよりも弱弱しいそれの方向に目をやると俺は驚愕した。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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