悲痛な叫びは青娥のもの。これだけの轟音の中でもあの甲高い声はよく耳に響いた。
青娥「ゴットヴィーン! そんな……。ゴットヴィーン!!」
巨大な「蜂」は炎に焼かれてドロリと溶けていく。中には半身がすでに消し飛ばされているかあるいは焼けただれているかして横たわっているロンゲーナー大佐が青娥に抱かれていた。
ロンゲーナー大佐「あの女狐、腹立たしいほど優秀な奴……ではないか。我が同志、青娥よ……」
大佐の肉体はみるみる溶けていき、こうやって会話が出来ているだけでも奇跡的といった状態だ。青娥はそんな彼の残された体に顔をうずめてわんわん喚いている。
青娥のことだから、万一ロンゲーナー大佐が死んだ後もキョンシーとして蘇らせるとかを考えていたのだろう。だが、ああやって肉体が残らないのではその方法は使うことが出来ない。だからこそ絶望のあまり泣き叫んでいるのだ。
ロンゲーナー大佐「未来を……。この幻想の空に我らが誇れる輝かしい未来を……。我が同志、青娥よ。行くがよい。我が屍を踏み越えて、その先の栄光へと……」
熱波の影響か、大佐の肉体は溶けてズブズブに崩れ落ちる。それに伴い首領蜂隊も全滅したようだ。焼け落ちる「蜂」から青娥は脱出し、ただただ呆然としている。
どうにか熱波を避けた俺は遠巻きに藍と対峙する。
貴方「お前が作ろうとしているものは新たな楽園なんかじゃない。ディストピアだ! お前は何の躊躇いもなく民間人を巻き添えにした。俺はちゃんと忠告をした。なのに、永遠亭に怪我をした外来人がいることを知っておきながら、お前はあの熱波を……!」
結局はコイツも同じだ。新たな幻想郷を作ることを口実に古き楽園を侵略しようとしている。青娥はまだ呆然と立ち尽くしている。ならば直近の脅威はコイツだけだ。
銀翼と妖怪寺Re:∀CT VII後編に続く……
名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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