不思議と格上の妖獣相手に橙は圧倒していき、藍は次第に押されていく。精神状況が影響しているのだろうか? 藍にとって橙はやはり大切な式。こんな状況になっても今一つ本気が出せないのかもしれない。

が、忽然と九尾が姿を消してしまうのだ。なんだ今のは!? まるで予兆を感じられなかったぞ?

藍「式輝『プリンセス天狐 -Illusion-』!」

橙の背後に突然現れた藍。そうか、テレポートで背後から橙を仕留めるつもりだ。

だが、放射状に広がった弾幕に紛れて飛ばされた狙いすました青弾は明後日の方向へと向かってしまう。

貴方「橙、今がチャンスだ! 後ろにいる藍にトドメをさせ!」

回り過ぎて方向感覚が狂ったのだろうか? とにかく今俺がかける声は橙に後ろに敵が迫っているということ。声に反応して橙はギューンと大きく弧を描きつつ藍に突進していく。

貴方「よしっ、クリーンヒットだ!」

だが、藍はそんな突っ込んでくる橙を片手で受け止めてしまう。そのままその握力で橙の頭を握り潰さん勢いで締め上げる。

橙「あが……」
藍「小賢しい真似を……。橙がここまで強い筈がないと思っていたら、後ろに『踊る童子』を用意していたとはな」

藍の視線の先には二人の少女が倒れていた。ピンクの服を着た少女と緑の服を着た少女。どちらも脚を撃ち抜かれており、立ち上がれないようである。

この俺に力を貸してくれる存在がいるらしい。全く気付かなかったけど。藍が「踊る」とか言っているので、恐らくは踊ることで対象の力を増強させるみたいな能力でも持っていたのだろう。だが、この負傷では踊ることは出来ない。

童子のバックアップがなくなれば橙が藍に勝てる筈がなく、このようになっているのだ。

藍「ああ橙、可愛い可愛い橙。殺すなんて酷いことはしないさ。新しい式を貼り付けよう。そうしたらまた家族になれる。一緒に新しい楽園で楽しく暮らそう」

対する橙はその両手に鋭い爪を伸ばして食い掛らんと構えていたが、あまりの苦痛に耐えられず意識を失ってしまう。

貴方「やっぱり俺が行かないとな! 文、名前も知らないあの二人の踊り子を安全な場所まで避難させてくれ!」

新しい式とやらが貼られる前に俺は思いきり飛翔して二人の間に割って入っていった。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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