その一方で深刻だったのがはたてと橙であった。はたては見るからに重症であるし、橙は肉体的な損傷はあまり見られないのだが明らかに様子がおかしくなってしまっている。

橙「ニャー。ニャーウ、ウニャオ……」

猫語しか話さなくなってしまった。恐らく滝壺に落とされたときに式が剝がれてしまったのだろう。そもそも妖怪とはいえ橙は猫でもある。猫は冷たい水が大の苦手な筈だし。

ひとまず体が冷えないようにタオルで全身をぬぐってやるのだが、式に関してはどうしたものか……。まさか藍にお願いするわけにもいかないし。

ゴーレム「ヒヒヒ、俺様の出番というわけだな」

それだけ告げるとゴーレムは橙のネコミミの中に入り込んで(中が見えないからどうなってるのか知らないが)なにやら「チェストー!」とか掛け声を上げている。

橙「にゃ、にゃあああああああああああ!!」

まるでくすぐられたかのような叫びをあげる橙。全身が痙攣していて見るからに不安である。

貴方「おい、何をやってるんだゴーレム!」

ほどなくして橙の痙攣がピタリと止まる。大人しく首を垂れていると思いきやようやく顔を上げた。

橙「藍様はどうなったの?」

人格が戻った……?

貴方「ゴーレム、お前本当何をしたんだよ?」
ゴーレム「ヒヒヒヒ、俺様秘伝の洗脳術を応用して式神としての橙ちゃんの人格を呼び寄せてやったのさ」

あの脳味噌のバクテリアンが言うには剝がれた式の残滓みたいなものが残っており、ゴーレムがそれを用いて式としての橙の人格を形成しているとのこと。なので橙の発言や行動はゴーレムではなく橙が主導権を握っているらしい。

貴方「なんか信用ならないな。んなこと言って本当は橙を操ってるんじゃないか?」
ゴーレム「バカ言うんじゃないぞ銀翼の末裔。こんな弱そうな子猫の体なんて興味はねぇんだよ! 乗っ取るならもっと強そうなやつだ。まあ強い奴はコントロールを奪うのも一苦労なんだけどね……」

ひとまずは橙が元の人格を取り戻したとはいえ、俺はどうするべきなのだろうか?



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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