バカ……な!?

これだけ距離を取っていれば拡散する熱波の影響は受けない。経験則からそれは間違いないことは分かっていた。だが、今の状況はどうだ?

銀翼が黒煙を上げて燃えているではないか。いや、魔力レーダーに一瞬だけ写っていた。いつもなら拡散するエネルギーが集束してこちらを狙い撃ってきたのだ。

あれでは熱波ではなく熱線、レーザーの類だ。空中でバランスを崩し墜落しつつある俺に藍が近づいてきた。

藍「狡猾ですばしこく、そしてしぶといゴキブリみたいな貴様を撃つには油断させる必要があった。こうすれば必ず大丈夫であろうという絶対的な油断が……な」

バランスを崩し高度を下げていく銀翼を墜落させまいとバランスを取ろうとするが、ここで第二波が来る。

貴方「させるかぁぁぁぁ!」

こうなればバジュラモードだ。燃え上がる銀翼の中、意識を集中させるとアールバイパーを紫雲色の光が覆い始める。

貴方「大魔法『魔神復誦』!」

あのレーザーを食い止めようという算段だ。果たして俺の想定通りにビーム同士がぶつかり合い拮抗し始めた。

貴方「うぉりゃああああ!!」

一時は押され気味だった魔神復誦だが、気合を入れて持ち直す。ジリジリと結界を追い詰めていった。

あと少し、あともう一歩だ……。

だが、こちらのレーザーの勢いが目に見えて衰え始めた。しまった、魔力切れかっ!? バジュラモードは長く維持が出来ない。勢いを失ったこちらのビームはそのまま飲み込まれ、藍の兵器が放った外来人殺しのレーザーが迫ってくる。

再び空飛ぶ八雲亭から放たれたレーザーをまともに受けたアールバイパーはきりきり舞いになりながら墜落していく。まずい、あのままでは永遠亭にぶつかる!

爆音とともに銀翼が木造の建物に突っ込み、そして炎上しながら墜落した。

白蓮「そんなっ、○○さんっ! ○○さぁんっ!!」

うぐ、呼吸が……熱い。ただの炎ではない。外来人を受け付けない炎なのだ。息を吸うたびにその炎が肺に入り込んで焦がしていくような苦痛。

貴方「がっ、くはっ……!」

追い打ちをかけるように藍は八雲亭から再びレーザーを発する。もはや俺に、そしてアールバイパーに戦う力は残されていない。だというのにダメ押しと言わんばかりにまだ追撃を繰り返すのだ。

貴方「ぎゃああああ!」

声にならない悲鳴を上げる。口を開くとそこからも熱気が入り込み中から俺の体を燃焼させる。

あつ……い……。

何もかもが赤熱する視界の中、最後に浮かんだのは憤怒の表情を浮かべる藍と、涙ながらに俺の名前を叫ぶ白蓮であった。

俺の意識は深く深く背中から落ちていく。地獄の業火に焼かれながら……。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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