(その頃、○○は……)


暗く、冷たい空間を俺はただただ落ちていく。先程までは灼熱に苦しまれていたのに今では逆に氷のような冷たさに身を震わせている。

それとも俺は今でも炎に焼かれているのだろうか? 酷く火傷をすると逆に冷たいと感じるというあの現象が起きているのかもしれない。いや、それすらも曖昧だ。

というよりあれだけ炎に焼かれたのだから俺は死んでしまったと考えた方が妥当だろう。俺は何度か生死の境を彷徨ったことがあるが、その時は決まって命蓮……白蓮の弟が出迎えて、そして励ましてくれた。

だが、今回は彼の気配すら感じない。思えば俺は幻想郷で戦いを繰り広げ過ぎた。どれだけの血を流してきたのだろうか? どれだけの命を奪ってしまったのだろうか? そんな俺に命蓮はとうとう愛想を尽かしてしまったのかもしれない。

そういえば仏教に出てくる地獄に「無間地獄」ってのがあった筈だ。落ちるだけで2000年はかかると言われている地獄の中でも最下層の地獄。まるで俺はそこに吸い寄せられているのではないかと錯覚させられるほどに俺は背中からぐんぐん落ちている……。

どれくらい俺は落ち続けていたのだろう? 不意に落ちているという感覚がピタリと止み、背後に大きな扉があるのを気配で感じ取った。振り向いた俺はその扉に手をかける。

ざっと10メートルはあるのではないかというほどの大きな扉。それにもかかわらず、自分でもびっくりするほどに扉は簡単に開いてしまった。俺は招かれている……?

だとすれば相手は何者だろう? 普通に考えれば閻魔大王あたりが生前の行いから裁きを下すとかだろうが、俺は既に地獄落ちが決まったわけではないのだろうか?

不安を胸に俺はゆっくりと歩みを進めると、俺の目の前に二人の少女が突然現れた。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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