(その頃、隠岐奈の扉の中……)

意識を取り戻したり失ったり。そんなことが何度繰り返されたのだろう?

再び意識の宿った俺の体であったが、今にも嘔吐しそうな気持ち悪さに俺は思わずえずいてしまった。なんだろうか、胃袋がムカムカするような、鉛でも押し込められたかのような重苦しさを感じている。

思い返せば、幽々子の幻影と対峙した時にもそんな感覚があったようななかったような……?

そんな俺は永琳の前に立ち尽くしていた。彼女も幻影なのだろうか?


人の寿命では到達不可能な叡智を受け入れよ。
どんな力も知性が伴わなければ惨事を生む。



美貌の次は知能といったところか。俺が幻影に触れることがどうやら隠岐奈の試練らしいので、俺は永琳に手を伸ばそうとする。3度目となれば俺もいい加減学習する。

俺は無言で永琳の手に触れた。やはり幻影だったらしく俺の体に吸い込まれていき……。

貴方「ああああっ!?」

突如襲った激しい頭痛に俺は思わず倒れこみ、その場でのたうち回る。例えるならば試験前日の一夜漬けで難しい数式を一気に覚えようとして頭がクラクラになるような、それの何十倍も何百倍も強烈なやつである。


甘く見ないほうがいい。
君は人ならざる者へ挑戦をしているのだから。



瞼を閉じると見たこともない数式やら化学式、触れたこともないような言語に年表が映し出されて、それらが直接脳味噌に叩きつけられる、そんな錯覚さえ覚える。当然苦痛がないはずはない。

貴方「これが、人ならざる叡智……?」

このような空間なので、実際にどれくらいの時間をかけたのかは分からないが、俺の体感だと三日三晩はこれが続いたように感じた。ようやく知性の責め苦から解放されたかと思うと心身ともにボロボロになり、俺は眠りについてしまった。


おやすみ○○。
最後に睡眠をとってその知識を脳に定着させるといい。



最後に隠岐奈の茶化したような、それでいてなんだかんだ俺を心配していそうな、そんな声が聞こえた気がした。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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