いや、待てよ……? 俺は時空跳躍をする前に記憶を取り戻した霊夢と会っていた筈だ。急なことだったし、俺のことも侵略者扱いで詳しいことは聞けなかったが、あれは確かにいつもの霊夢だった。

そしてその時の紫はキョンシーにされた状態でスキマの中を漂っていたので、彼女は当然関与していない。それはつまり、紫の能力を使わないで霊夢は記憶を取り戻せることを意味している。

その仮説の一つがもしかしたら魔理沙の提唱するショック療法なのかもしれない。

貴方「魔理沙、お前の賭けに乗った! 戦場で飛び交う弾幕の嵐を見たら確かに記憶を取り戻すかもしれない」

俺は首領蜂隊との死闘の後、朱理の犠牲で無事に大気圏突入したあの時を思い出していた。

そう思うや否や俺の足は銀翼に向かっていた。

貴方「ただし、霊夢は俺のバジュラバイパーに乗せよう。その方が安全だ」

あの霊夢は青娥のことを知っていた。アイツがSTG世界の住民と手を組んでいることも知っていた。だから紫の能力なしで霊夢は記憶を取り戻せる。

もちろん魔理沙も俺についてくる。さらに早苗までもが戦線に加わると言い出したのだ。

早苗「あの『石のような物体』と対面できる、この一連の異変の根源は私も知っておきたい。幻想郷の住民であり、かつて外来人でもあった私にとっては大切な戦いになるでしょう」

もちろん事情を知らない紫は更に語気を強めて俺を止めようとする。

紫「○○や早苗まで何を言ってるの!? そんな危険で不確かなこと、私が認めるわけないでしょう?」

不確か、確かにそうだ。だが一つだけはっきりしている事がある。霊夢は記憶を取り戻せる。その方法が分からないだけで。だから俺はゆっくりと紫にこう告げた。

貴方「心配するな。歴史上ではすでに実証済みだ。俺は『あの未来』で博麗の巫女に会った。紫の能力なしで霊夢は自らを取り戻せる!」

竹箒、戦闘騎、そして銀翼……。乗り物は違えど目指す場所は同じ。

貴方「乗っ取られた八雲亭を奪還するぞ!」
魔理沙「お寝坊霊夢を叩き起こすぜ!」
早苗「青娥さんと『石』の秘密を暴いてみせますっ!」

唸りを上げるバーニアの音、今か今かと出撃の時を待つ銀翼と戦闘騎。

貴方「いくぞっ、俺について来い!」

そして俺達は黄金の八面体めがけて飛び立ったのだ……。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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