「それ」は突然空間を切り裂きやって来た。
本来なら世界から必要とされなくなったモノとして幻想入りする筈だったモノ。外の世界ではすっかり忘れ去られた古ぼけた遊具。誰も遊んでくれないのに、大きいだけ大きくてメンテナンスのコストのかさむ大型筺体。
しかしそれはスクラップではなく戦闘機の形をしていた。
私は恐怖した。この妖怪たちの楽園たる幻想郷に攻め入る存在が遂に現れたのかと身構える。しかしそれは間もなく墜落。
間もなくしてそれが私自らが呼び寄せた忘れ去られた外界の遊具であることが判明。だが、こんな物騒な形はしていなかった筈。幻想郷ではもちろん、今の外界の技術ですら為し得ることが出来るかどうかの怪しい危険な超技術の塊。半ばスクラップになっていたとはいえこれが幻想郷に存在してはいけないモノであることは明らか。私はこの招かれざる来客を始末することにした。戦闘機と、その乗り手を含めて。
仕損じた。戦闘機に乗っていた外来人を捕らえたまでは良かった。だが、思わぬ干渉を受けてしまう。同じく戦闘機の墜落の調査に向かっていたであろう命蓮寺の住職「聖白蓮」。一方的に外来人を襲っていると思われた私は彼女との交戦が避けられないことを悟る。
やむなく外来人を手放し迎撃に集中することにした。この住職もなかなかのやり手である。荷物片手に戦闘出来るような相手でもない。
その間にみすみす外来人を逃がしてしまい、また大破していた戦闘機もやはり墜落の轟音に誘われてやって来た河童の小娘に持っていかれてしまった。
聖白蓮との勝負もどうにか勝利こそ出来たものの、こちらも深手を負ってしまう。しばらくは動けないだろう。更に顔面を思い切り殴られてしまい、とても見られるような状態では無くなっていた。ああもう最悪! 大失態もいいところである。
外来人が幻想郷の常識に上手く馴染めないというのはよく聞く話である。それはつまり私達も外来人の持つ常識に翻弄される事もあり得ると言うことだ。そして今まさに外来人の発言に私は酷く戸惑っていた。
例の外来人の行動を監視したところ、彼は幻想郷で広く広まっている「スペルカードルール」に着目し、よりによって私を弾幕ごっこで負かすことで幻想郷に住むことを許してもらおうと言いだしたのだから。
我が耳を疑った。確かに多くの異変を平和的に解決してきた弾幕ごっこ。決闘としても用いられるそれではあるが、本来は女の子の遊び。それを幻想郷のイロハも知らない男が弾幕ごっこをやって私を倒すと言うのだ。
よし、もうしばらく生かしてみよう。恐らくはあの銀翼を弾幕ごっこに使用するのだろう。彼にはそのことに集中してもらえば他に悪さをする危険もなくなるし、大の男が女の子の遊びにムキになって取り組むだなんて見ていて滑稽だろうし。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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