八雲紫との決闘も過去の思い出となった頃……。

幻想郷に住まうことを許された俺は命蓮寺で平穏な日々を送っている。今ではすっかり日課となった境内の掃除から、立場上は妖怪の味方である白蓮では受けにくいような人間サイドな依頼の遂行など……。そんな平和な日々がずっと続く……筈であった。そう、実際は平穏でも何でもなかったのだ。

俺が八雲紫に勝利したことがあまりにも衝撃的だったらしく、かの「文々。新聞」で大きく取り上げられてしまったのが原因である(「妖怪賢者 外来人の男性相手に墜ちる」だなんて大きな見出しが出てくれば嫌でも目に入る。そういえば、文を最近見かけないなぁ……)。

幻想郷きっての弾幕ごっこの実力者が命蓮寺に顔を出すようになったのだ。もっとも挨拶程度のものであり、実際に勝負の申し出をしてくる人(……というか妖怪ばかりだが)はいなかったのだが、いつこのような存在に勝負を仕掛けられるか分かったものではない。仮に勝負になった場合、勝敗よりも大怪我をしないことが今の俺にとっては大切なことであった。

いつ強者に勝負を仕掛けられるか分からないということで日課であるお寺での務めの傍ら、これまた最近の日課となった弾幕の特訓も行っていた。

響子「それじゃあ始めるよー!」

遥か遠方、緑色の髪に垂れている犬の耳のようなものを持ったワンピース姿の少女がブンブンと腕を振り回している。今回俺の弾幕ごっこの練習に付き合ってくれる彼女は「幽谷響子」。小柄な体からは想像もできないほどの大声を張り上げることが出来る。それもその筈、彼女の正体は山彦と呼ばれる妖怪なのだ。山で大声を出すと声が返ってくるというアレである。両手を口に添え始めた。何かスペルを仕掛けてくるに違いない。

響子「大声『チャージドヤッホー』!」

貴方「銀符『レーザーワインダー』!」

ぶつかり合う弾幕と弾幕。実力は互角程度であり、実に修行にもってこいの相手である。つい白熱し過ぎて白蓮に叱られることも少なくないが、おかげで弾幕ごっこにも多少慣れてきたような気がする。

そんな命蓮寺での日常。来る非日常に対して準備をしてきた矢先の出来事であった。響子や白蓮、果てはあの紫なんかよりもずっと凶暴で、ずっと強大な奴が寺の門をこじ開けてきたのだ。しかも相手は妖怪ではなくて俺と同じ人間だというのだから驚きである。

???「紫から聞いたわよ。珍しい道具を使って紫を負かした男がいるって」

門をいきなりこじ開けるのは巫女であった。いや、巫女装束だと思ったがよく見ると色々な所がアレンジされている。特に腋を露出させているのが特徴的であった。急に門が開かれるものだから俺と一緒にいた響子が大きな耳や小さな尻尾をピクンと震わせて硬直していた。

また俺に用があるのか……。あのままだと巫女が響子に喰ってかからん勢いだったので、名乗り出ることにする。

貴方「そう、俺が紫と決闘をした○○だ」

名乗りを上げると巫女がピクリと反応しこちらに詰め寄る。

巫女「ふうん、アンタがねぇ……」

自らを「博麗霊夢」と名乗った彼女は一通りこちらをじっくりと見つめると、とんでもない事を言い出す。

霊夢「なるほどね。命蓮寺ならお宝もいっぱいあるし、アンタも珍しいものを持っているに違いないわ。さあ、私と勝負しなさい。私が勝ったらアンタが持ってる一番のお宝を貰ってやるわ」

なんて強引な人だ。やんわりと断ろうとしたが断ると今度は命を取られかねないので、仕方なくアールバイパーに乗り込んで弾幕勝負に応じることにした。

霊夢「そうねぇ。あり得ないとは思うけれど、アンタが勝ったら私の一番のお宝をプレゼントするわ。これなら対等でしょう?」

ここで巫女に屈したら俺の大切なものを奪われる……。この戦い、負けられないっ!!



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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