さて、邪魔する奴も懲らしめたし改めて冥界の門を目指して……あっっと……。ネメシスを格納するのを忘れるところだった。このオプションシュート、かなり強力なのだが、使い切ると魔力が枯渇するから一々回収しに行かなければならない。それ差し引いても強力なスペルだからついつい多用してしまうのだが。

ええと……ネメシスは何処に行ったかと周囲を見渡すと、半霊がぐったりとしたネメシスを頭(っぽいところ)に乗せてこちらにスゥっと寄って来た。

貴方「ああ、今回は助かったよ。ありがとう、半霊」

無事にネメシスを回収すると半霊と共に更に高度を上げていく。

鉛色の雲の真っただ中、何も見えないがレーダーに異常な反応なし。このまま雲を突っ切っていく。

そして不意に光が射した。鉛色の雲を抜けさんさんと太陽の照る高空に出たのだ。眼下に広がるは雲海。蒼い空は一点の濁りもなくただただ透き通っている。

貴方「うわぁ……」

幻想郷は外の世界で失われつつある美しい光景をあちこちに残しているが、この雲海と蒼空は特にすばらしく、まるでこの世のものとは思えぬ美しさである。いや、目的地が冥界なので、現にこの世から離れようとしているのか。

しばし任務の事を忘れアールバイパーをゆっくり飛ばす。雲海の傍まで近づいたり慣れない宙返りをして見せたり……。

そうしているうちに傍から見ても分かるような巨大な門が見えてくる。恐らくはあれが冥界への入り口なのだろう。バイパーの傍を飛ぶ半霊もせわしなく動いている。やはり幽霊らしく、この冥界に住んでいたのだろう。

門に近寄ってみたが、門番らしきものは何処にもいない。というより門はかたく閉ざされており、開く気配がない。

貴方「さすがにガードは堅い……いやいやいや、俺飛べるじゃん」

そう、いくら巨大な門といえど高さに限界はある。その門を飛び越えてしまえばいいだけだ。勝手に侵入するのは気が引けるが……、でも今回は迷子の半霊を助けるためだ。多少の無礼は仕方がない。そう思うことにした。

冥界、そのあまりに非日常な世界へ、俺は……入りこむ。




名前:聖白蓮
身体強化率326%

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