傍で話を聞いていた半霊が幽々子を確認するとスルリと俺の元を離れ、幽々子に頬ずりしていた。

幽々子「白玉楼には自慢の庭師さんがいるの。少しおっちょこちょいだけど真面目でとっても可愛い子なの。それでその子は半人半霊っていうちょっと珍しい種族。名前は……『魂魄妖夢』。……端的に聞くわ。貴方、この子と何処で会ったのかしら?」

先ほどとは比べ物にならないほどの鋭い目つき。確かに俺は誰かの半霊をずっと連れ回してきた。彼女が知りたいのはそうなるに至った過程だろう。当然俺が無理矢理に半霊をさらったと考えているかもしれない。

貴方「俺を、疑っているのか? 半霊さらいの犯人だと」

幽々子「いえいえ。その線は絶対にないわ。無理に連れ回した半霊が弾幕勝負で手助けなんてしてくれないでしょう? それに不思議なのよ。見ず知らずの人には気難しい態度を取る妖夢が、半人ではなく半霊の方とはいえ、こんなにも○○君に懐いている」

疑われているのではないと告げられ胸をなでおろすと、俺は半霊と出会うまでのいきさつを可能な限り幽々子に話した。突然空から降ってきた事、瀕死の重傷を負っていた事、命蓮寺で介抱しある程度元気を取り戻したから半霊の持ち主を捜しに来た事……。

幽々子「……なるほどね。確かに妖夢はこの白玉楼にいたわ。……数日前まではね。『異変が起きた。犯人を懲らしめる』とだけ口にしてあの子は数日前にここを出ていってしまったわ。おかげで私のからかい相手がいなくなってストレスがたまったものよ。あっ、妖夢ってね……根が真面目過ぎるから、ちょっとからかっただけで凄く面白いことになるのよ~♪」

いかん、また話が脱線しそうだ。話の趣旨があっちへこっちへフラフラしているのは良くも悪くも亡霊らしく芯がしっかりしていないというか……。いや、幽々子自身は芯が強そうだけど……。俺は咳払いをして話題の修正を促す。

幽々子「あ、あら……ごめんなさいね。それで妖夢が出ていってからもう何日も経っているけれど一向に帰ってこないのよ。流石に少し心配になってきたところ。そうだ○○君、悪いけれど妖夢を探して欲しいのよ……」

なんてこった! 命がけで冥界まで赴いたのに、半霊の持ち主の名前が「魂魄妖夢」という事しか(他にも妖夢の特徴を幽々子から教わったりもした。銀色のおかっぱ頭で背が低い。緑色のワンピース姿である。刀を2本常に帯刀しているなどなど……)収穫がないじゃないか。だが、肝心の妖夢の居場所がまるで突き止められない。せめて妖夢がどんな異変を解決しに行こうとしたのかさえ分かれば……。

貴方「ところで妖夢がどっちに向かったのかは……?」

幽々子「ここを出るとき妖夢は何て言っていたかしら? ええと……」

次の瞬間、俺の懐が眩い閃光を放ちながら激しくバイブレーションする。急な出来事に驚き服の中をまさぐると、何やら宝塔のようなものが閃光と振動の発生源であることが分かる。

これはかの毘沙門天代理が愛用している宝塔、それのレプリカだ。俺は「レプリカ宝塔」と勝手に呼んでいる。八雲紫との決闘の後で、アールバイパーでの任務は危険が伴うだろうと白蓮が授けてくれたものである。

暗い夜道を照らしたり空気清浄機になったり(俺はあまり使っていないが)様々なアロマな香りを出したりもする便利なアイテムである。あと持っていると運気が上昇する(ような気がする)。更に通信機としても機能しており、このように命蓮寺と常時コンタクトを取ることが出来るのだ。どういう原理なのかは知らないが、宝塔の光から通信相手がホログラムのように映ったりもする。

俺はそんな宝塔を机の上に置き、コンタクトを試みる。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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