すっかり見覚えのある里の風景であったが、人気がないだけでこんなにも異質に見えるとは思わなかった。温かみのあるはずの周囲の色もどこか不気味に見えてくる。

途中で怯える人々を引率する白蓮とすれ違ったが、軽く会釈しただけで話し込んだりはしない。今は辻斬りの確保が最優先だ。

ただひたすらに歩みを進めていく。ちょっとした風の音すら敏感に感じ取れるくらいに静かになっていた。表通りを見まわったり、路地裏に入り込んだりするが、今のところ怪しい影は見えない。しばらく無言のまま探索が進んでいたが、ふと思い出したかのように慧音が大きく息をつく。

慧音「少し休憩しようか。こういうのはガムシャラに歩き回ってもいい結果は出ない。一息つこう。それに○○なんかはそんなに縮んだ上に機械の翼の中に閉じ込められっ放しでは息も詰まるだろう」

当てのないものを探すというのは思ったよりも労力を要するものである。俺も二つ返事をし、リデュースを解除し、銀翼を元の大きさに戻す。適当な場所に着地させると俺はアールバイパーから降りて、その銀翼に腰かけた。ふわりとすり寄ってくる半霊を膝に抱え、優しく撫でてやる。

貴方「もうすぐだ、もうすぐ会えるからな」

スリスリと甘えてくるこの真白い生命体を可愛がりつつも一抹の不安が俺の脳裏によぎる。半霊の持ち主である妖夢は暴走して辻斬りとなり果てている。そんな状態の半人と会って半霊はどんな気持ちになるのだろうか……。ショック受けたりしないのだろうか……。

と、アールバイパーの下から慧音先生がふわっと浮遊し「隣いいかな?」とだけ簡潔に口にすると俺のすぐ横に腰かけ始めた。さらさらの青白いロングヘアーが風になびきながら、夕陽に照らされ光っていた。そのまましばらく黙っていたが、唐突に口を開いた。

慧音「ときに○○よ」

俺に唐突に話しかけた先生。ビックリして変な声で返事してしまった。

慧音「八雲紫の一件の時は自分も手助けすると言っておきながら、何も出来ずにすまなかった。私は今でも驚いているよ。流石に本気は出していなかったのだろうけれど、あの妖怪賢者の口から『まいった!』と言わせたのだから」

貴方「褒められたようなものじゃない。あの時は勝敗よりもただ死にたくない、生き延びたいって思いで一杯になってそれで……、卑怯な手を使って勝っただけだ」

あの勝利は「操術『オプションシュート』」による不意打ちで得たようなもの。弾幕ごっこ用の道具を完全に破壊されているのだ。本来は試合の続行など不可能な状態。だのに俺はスペルカードの発動を宣言し、紫の拘束から逃れたのだ。




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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