自らを卑下する俺を見て、先生は諭すように続ける。
慧音「いいや、八雲紫は君のスペルに対して『まいった!』と言ったのではなくて、君の抱いていた『幻想郷で生きていく!』という強烈な想いに対して『まいった!』と言ったのではないかな? 紫も『妖怪は人を襲い、人は妖怪を退治するもの』といつも口にしている。そのルールを理解し、受け入れられるかどうか。あの時の彼女はそこを重点的に見ている感じだった。だから胸を張れ、君は幻想郷の住民として認められた!」
『生き抜いてやる』という想い。それこそが大切である旨は紫からも言われている。その結果が不意打ちだったのだが、卑怯である事との板挟みで今も葛藤する事があった。
だが胡散臭い紫だけでなく、先生からも同じような事を言われた。おかげで俺は過去の後ろめたさを振り切ることが出来たようだ。それに、どの道もう過ぎた事だ。過去はどうあれ、今の俺は幻想郷の……命蓮寺の○○だ!
薄雲で遮られていた夕陽が再びアールバイパーを射す。沈みゆく夕陽は過去の俺との決別。夜空と夕陽で混ざり合った紫の空に光る星々はこれからの無限の可能性の証。そして同じく紫色に染められた小さな雲は……
慧音「そうだ、その意気だ。これでようやく話題にしたかった事を話せる。その『生き抜く』という想い、何か本能的なもの以外も感じた。自分自身以外の為にも抱いた気持ちなのだろう。その相手はやはり……?」
俺はただ無言でうなずき天を仰ぐ。紫雲は吉兆の証。そして右も左も分からない俺を導いてくれた命の恩人の象徴……
慧音「そうか、何も言うな。君の表情が全てを物語っているのだから。ならば尚更胸を張らなくてはいけない。自分の行動に自信を、誇りを、責任を抱け。あの時……、○○が唯々生き抜きたいとひたすら思った時のように。それこそが君自身の、そして君の愛する……」
ありがたい話の途中だと言うのに、突然半霊がざわざわと騒ぎ出す。何か気配をキャッチしたのだろうか?
慧音「辻斬りが近いかっ? ○○っ! 銀翼に乗り込み戦闘の用意!」
勢いよくアールバイパーから飛び降りた慧音は凛と気を張り、来る敵に備えている。俺もバイパーのコクピットに飛び乗り、リデュースを発動した。機体の外で半霊は今もせわしなく震えている。見ているこっちが不安になる程だ。
既に陽は沈み辺りは夕闇に支配されつつある。そして薄暗い人里の一画で、不意に人影が飛び出してきた。長い得物を持っている! ついに出たか、辻斬りめ!
俺と慧音は不用意に飛び出した人影を取り囲んだ。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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