鈴仙「お師匠様、もうやめましょう……! これ以上異変は起こせないんです。私達の敗北なんですよ……」
月のウサギが今や怒りでオーバーヒートした月の頭脳の暴走を止めようと躍起になっている。
てゐ「せめて最期くらいは綺麗に消えたいものウサ……。あまり往生際が悪いと後の歴史で笑い物にされるウサ」
永遠亭の住民にとってこの異変は自らの存在を守るための異変という認識。それの完遂に失敗したという事は自らの消滅を意味している。彼女らの頭の中はその考えに支配されているのだ。
白蓮「消える……? そんなことはないと私は思いますが……」
永琳「その口が言うの!? 散々私達の存在を脅かしておいて!」
今度は住職につっかかる。しかしその結果を予測していたかのように白蓮は少しも取り乱さない。永琳をかわすように立ち回ると、今も地面でうずくまる幽々子のところまで案内した。
白蓮「永琳さんは幻想郷一のお医者さんでしょう? 人間だけではなくて妖怪や果ては亡霊なんかも診察できる……、そんな方永琳さんを除いて幻想郷にいましたか?」
そこまで言うと白蓮を押しのけるように涙目になった妖夢が永琳に頼みこむ。
妖夢「幽々子様が……幽々子様が……。この深い傷を治して下さい……」
「ほらね」と言わんばかりに白蓮は月人を見る。目が覚めたかのようにハッと目を見開く永琳。その瞳からは一筋の涙が零れ落ちていた。
永琳「私は……必要とされているのね。忘れ去られたりなんかは……」
白蓮「当然です。人里では永遠亭がずっと閉まっているから混乱していましたし、妖夢が寝込んだ時もここで診察が出来なかったので、何日も命蓮寺で看病していたのですよ。永琳さん、それだけ幻想郷に貢献しているのに、今更誰が貴女達の事を忘れるのです?」
住職サマに優しく諭されると心の荷が下りたのか、ガックリとバクテリアン戦艦の残骸でひしめく床に崩れ落ちる。
永琳「そんな……。私は忘れられたりなんてしなかったのに、外界の技術に現(うつつ)を抜かしてなんて恐ろしい事をしてしまったのか……」
バクテリアンももはや復活せず、永琳も自らが忘れ去られ消滅してしまうなど起きえないことを知った。どうやら今回の異変もこれにて一件落着のようだ。
俺も全てが終わったことに安堵し、深くため息をついた。さあ、命蓮寺に帰ろう……。俺は踵を返し来た道を戻る……
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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