てゐ「てめぇがエネルギーになりゃいいウサ! そこのカグヤ姫がそうしていたようにな!」

突然鈴仙の前に踊り出るてゐ。するとその小さい体全身で仲間を思い切り突き飛ばした。その先に待ち構えるのは「バニシングコア」のジェネレーター。しかしコアらしきものは見当たらず、その部分がスカスカになっていた。ま、まさか……!

鈴仙「ど、どういう事なの? 確かに姫様を縛って幽閉したのは事実だけど、エネルギーにするって……」

バニシングコアの淵にしがみつき困惑する月のウサギ。

てゐ「言葉どおりの意味ウサ! あんたにはバクテリアン戦艦のコアになってもらうウサ。光栄だろウサ? ウサ……新たなる幻想郷の支配者、バクテリアン軍の手足……ウサ……になって戦えるんウサだから。ウサササササ!!」

響きわたる鈴仙の金切り声と、妖怪兎の高笑い。バチバチと放電を起こし魔力の類がバニシングコアに吸収されているらしい事が分かる。

鈴仙「あなた……てゐじゃないわね!?」

てゐ「寝ボケたことウサるのも大概にするウサ。ウサにいるのは正真正銘のウサカワイイてゐちゃんウサ!」

最後の抵抗むなしく、鈴仙はバニシングコアに取り込まれてしまった。全身に陰のさしていたボディは命が宿ったかのように赤みを帯び始める。それが機械の体で為されているのだから奇妙な光景だ。

てゐ「ウサ、ウサササッササ! ウーササササ!! サササーウウササササ!!」

突如浮かび上がるイナバは奇声を発しつつぶらりぶらりと両肩を軸に大きく揺れ始めた。がくりと垂れた頭部がガクンガクンとスイングしている。

輝夜「てゐ、後ろにいるのは……?」

よく見るとてゐの両腕はダンゴ状に連なった太い触手と連動して動いていた。その宿主は虚空からゆっくりと姿を現す。

鈴仙やてゐの頭部と同じくらいの大きさをした脳みそであった。ギロリとした1つ目がこちらを凝視している。脳みそから2本だけ生えていた触手をモノを捨てるようにポイっと動かすと、てゐも首根っこを掴まれた後、放り投げられる猫のように地面に叩きつけられた。

バクテリアン軍の触手を持った脳みそ(それでいて1つ目)。そんな奴は大体見当がつく。こいつは「ゴーレム」だ。

一言にゴーレムといっても、巨大戦艦張りの巨体を持つ個体もいるし、今俺の目の前にいるような女の子の頭の上に張り付いていられる小さいものまでいる。ちなみに岩や土で作られた巨人のゴーレムとは容姿が全然違う。

ゴーレム「テメェは用済みだ。ったく。任務とはいえ、こんな小娘の洗脳なんざやらせて……」

うつぶせに突っ伏したてゐの上に乗っかるとまるで愚痴をこぼすように続ける。うめき声をあげて起き上がろうとする彼女を触手で小突いたりしている。

ゴーレム「しかもコイツ狡猾だったけど月の頭脳とやらじゃなさそうだし。まぁいっか。バクテリアンに懐疑的だった鈴仙とかいう月の兎を消せたし。テメェらはこのバニシングコアと死ぬまで遊んでな!」

それだけ早口でまくしたてると、小さいゴーレムはピューとどこかへ逃げ出してしまった。

すぐさま追いかけようと銀翼を飛ばそうとする……が、一斉にスポットライトを浴びせられる。アラート音をけたたましくかき鳴らし、バニシングコアが行く手を遮った。

輝夜「○○……」

貴方「分かってる。鈴仙は何としても救う!」




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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