この身で巻物を受けて送り届ける。俺はそれだけを行おうとした。だが、魔人経巻に触れた瞬間……。
貴方「うぐわぁっ!!」
まるで蛇のように巻物が伸びるとアールバイパーを絞め付け始めた。な、なんだコレ……!? 特にコクピットがつぶれているわけではないのに頭がギリギリと絞め上げられるような感覚。
同時に魔人経巻に描かれた不思議な模様がディスプレイに乱雑に表示される。コンピューターウイルスの類? そんなまさか!? 幻想郷にそんな奴いてたまるか。となると白蓮の巻物が干渉していることになるが……
白蓮「やめて! その人を、○○さんを傷つけないでっ!!」
持ち主の必死の悲鳴もむなしく、魔人経巻は俺に苦しみを与え続ける。まずい、意識が……
白蓮「お願い、落ちついて! おね……ガハァッ!?」
思わぬ脅威の登場で白蓮はすっかり妖夢の事を忘れていたようであり、背後から袈裟斬りにされる。じわりと白いインナーに鮮血が染みる。ショッキングな出来事に薄れかけた意識は覚醒する。眼は冴えたが、同時にぼやけていた苦痛も戻って来て、俺は顔をゆがめた。
これ以上の追撃をさせまいとリップルレーザーを撃ち妖夢の注意をこちらに向ける。波紋型のレーザーはあっけなく妖夢に斬られてしまうが、その隙に白蓮は退避に成功。ふわりと飛び上がるとアールバイパーに取りついた。
白蓮「その人を傷つけないで……」
魔人経巻の本来の持ち主が触れた途端、大蛇のようであった巻物はまるで絹織物のように柔らかになり、俺は苦しみから解放された。同時にディスプレイも元に戻りつつある。が、白蓮は吐血するとアールバイパーの翼の上で膝をついた。落ちないように一時的にリデュースを解除する。
白蓮「その……ごめんなさい。貴方を危険な目に遭わせてしまって」
貴方「もう喋らないで。あとは俺がやる」
白蓮「確かに、この怪我では貴方のサポートは……無理でしょう。でも、これだけは……」
震えた手で懐から取り出したのはスペルカード。その材質、デザインは豪華絢爛であり俺のメモ帳の落書きのようなペラペラの安っぽいスペルカードとは全然違っていた。
白蓮「貴方にこのスペルカードを授けます。これは『スターソードの護法』、弾を消し去る刀を持った妖夢にはこのようなスペルが必要です。どうか妖夢を止めて、助けてあげて……」
それを最後に白蓮はアールバイパーの翼から落下した。眼下で慧音先生が受け止めている様が見えて少し安心する俺。
手にしたカードはほんのりと暖かかった。裏を見ると魔人経巻の模様がわずかに光を帯びており、ただのスペルカードではない事が分かる。もしかして俺にもこのスペルが使えるように魔力を込めたのだろうか?
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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