長い長い死闘の末に真っ暗だった夜は次第に明るさを取り戻し、また新たな一日が始まろうとしていた。
とうに意識も無いというのにスウスウと寝息を立てつつ、刀の柄をギュッと握りしめたままの少女。半霊と協力し彼女を抱き抱えるとアールバイパーのコクピットに乗せる(複座式なのだ。もちろん操縦するのは俺の役割)。彼女は先程まで驚異的だった様が嘘のように華奢であった。こんなに強くとも女の子なのだなと改めて認識する。そして彼女の半霊は相変わらず機体の外で俺を追いかけるつもりらしい。
俺もコクピットに乗り込もうとした矢先、まだやり残したことがあることを脳裏によぎり、踵を返す。その先にいたのは白黒のドレスに身をまとった俺の恩人。そう、またも助けられてしまったのだからお礼の一つは言わないと。
貴方「また……助けられたな。ありがとう、白蓮」
懐からいい紙材で出来た煌びやかなスペルカードを取り出し差し出す。「スターソードの護法」は俺の手に余るシロモノだ。返しておこうと思ったのだ。
白蓮「それは……?」
貴方「これは返そうと思う。白蓮さんのスペルだし俺にはまともに使えないようだ」
腕をまっすぐに突出しカードを差し出す。しかしそのカードを受け取る手はいつまでも出ない。顔を見上げると白蓮はふんわりとした笑顔でこう続けた。
白蓮「いいえ、それは○○さんのスペルカードです。私だけでは絶対に成し得なかった技ですから。必死に足掻いて足掻いて、その末に得た紛れもない貴方のスペルなんですよ」
ほんのり熱を持っていた「スターソードの護法」のスペルカードが急に熱くなる。虹色の炎でいきなり燃え盛ったかと思うと一瞬で炎は消える。リアクションを取る間もなく元に戻ったカードをよく見ると……
「銀星『レイディアント・スターソード』」
こう書かれていた。イラストも巨大な二振りの剣というそれらしいものに変わっている。
白蓮「ほら、これならハッキリとわかるでしょう? 私のカードはまた作ってもらうので……。○○さんもメモ帳の切れ端ではなくてちゃんとした紙のカードのほうがいいでしょう」
「さあさあ、怪我人をずっと放っておいては駄目ですよ」と白蓮に背中を押されたので俺は改めて白蓮から授けてもらったスペルカードを懐にしまい、アールバイパーに乗り込んだ。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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