永遠亭内部は月明かりも入らずに相当薄暗い場所であった。どこまで続くかもわからない長い長い廊下を突き進み、最深部を目指す。部屋はいくつもあり、今もウサギの耳をはやした衛兵からの弾幕をいなしつつ探索を続けている。単機での行動は予想以上に困難を極めていた。

貴方「大丈夫だ、レーダーによるとこっちの方向で合っているはず」

指示された方向へアールバイパーは飛行している。とはいえ途中で通れなくなったりするかもしれず、この入り組んだ建物の中ではイマイチ信憑性が持てない。

とりあえずこの道を突き進んでいこう。それしか情報がないのだから。それよりも邪魔をしてくる敵どもの処理が先決だ。

背後から追ってくる奴は微妙に速度を落としつつのレイディアントソードで、まとまって突っ込んでくる奴らにはスプレッドボムで、そしておびただしい量の真白い使い魔を引き連れているような奴相手には……

貴方「操術『オプションシュート』!」

この暴力的なまでの執念深さと火力を併せ持ったスぺルで一網打尽にする。撃ち出され、オレンジ色の光の球体となったネメシスは予想以上の働きを見せ、最後にオーラを爆発させる頃にはほとんどの敵を倒していた。仕事を全うしたネメシスを首尾よく回収、さらに先に進む。

散り散りになって逃げ惑うイナバの中で隊長格らしき敵影を発見する。見た目は幼い少女のものだが、よく見ると他のウサギ達をアゴで使っている。こいつだけ黒髪だし目立つ。

しかし、こちらに気が付くと彼女は一目散に逃げ出してしまった。なるほど、アールバイパーには敵わないと見て脱兎のごとく(文字通り)逃げ出しているのだろう。ここでさらなる増援を呼ばれたら厄介だ。追いかけてとどめを刺す。どの道レーダーによるとあまり脇道にもそれないし、不安要素はできるだけ排除したほうがよいだろうから……ね。

貴方「このっ! このっ!」

逃げるウサギは空中を跳ねるようにこちらの攻撃を避けていく。おのれ、あの桃色ワンピース、逃げ足だけは速い。こうなればコンパクを用いて……。

貴方「操術『オプションシュート』!」

真白い霊魂が唸りを上げて標的めがけて突っ込む。当の標的であるイナバは何故か邪悪な笑みを浮かべていた。な、何がおかしいっ!? オプションシュートは確実に標的に大ダメージを与える。いくら逃げ惑ったところで絶対に……。

だが、コンパクは急にコントロールを失ったかのようにその場でクルクル暴れ出し、そのままあさっての方向で爆発した。な、なぜ? とにかく力を失ったコンパクを回収せねば。俺は霊魂めがけて飛ばす。むう、ユラユラしていてなかなか回収できない。右へ左へと移動するが、一向に回収できる気配がないのだ。

おかしい、まるで酒に酔ったかのように周囲がグワングワンする……。気付くと薄暗かった廊下にボウと赤い光が無数に光っていた。人魂か……? 違う、あれは瞳だ。赤い瞳がこっちを凝視しているんだ。これがあの妖夢が屈したという「狂気の瞳」ってのだろうか。

黒髪のイナバ「にししし、お兄さんって騙されやすいタイプ? だって面白いほど深追いするんだもん」

先程まで追い回していたイナバが勝ち誇ったようにふんぞり返る。その声が右から左から反響して脳に響いた。

???「呆気ないものね。てゐ、よく誘い出してくれたわ。ネズミ……いえ、見た目的にはヘンテコな鳥のバケモノ……」

貴方「だからアールバイパーは超時空戦闘機であって、ヘンテコな鳥のバケモノにゃどぢぃやぬっ……」

てゐと呼ばれたイナバの同僚だろうか、新たに紫色の長髪の少女が現れる。彼女もウサギなので耳があるが少し性質が違うようだ。

とにかく俺はそんな彼女を睨み付けていつもの口上を口にするが、肝心なところでろれつが回らずしまらない。憤りを瞳に込めてさらにきつく睨み付けた。だが、それがまずかったか、再び視界が何重にも剥離し焦点が合わなくなる。間違いない、こいつが狂気の瞳を持つという鈴仙だ。

こんな感覚を狂わせる相手、俺に倒せるのだろうか?




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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