鈴仙は宝塔を警戒し、本来の敵である俺への集中が途切れる。今や宝塔にクギヅケだ。
貴方「そぉい!」
おもむろにレプリカ宝塔を投げ込む。今後に備え、俺はアールバイパーのキャノピーを閉じ、耳を押さえながらうずくまった。直後、耳をつんざく高音と眩い閃光が弾け飛んだ。
宝塔型通信機にも光を発する機能がある。それを利用してフラッシュグレネードとして活用してみたのだ。
光と音が収まった後、見上げるとあれだけいた紅蓮の瞳は消え去っており、そして目の前には目を押さえて悶え苦しむ永遠亭の刺客がいた。
鈴仙「ああああああっ!!」
てゐ「へあぁ……。目がぁ……、目がぁーーー!!」
貴方「『狂気の瞳』とやらでこちらを凝視していたのが仇となったな。急いでいる、お前たちの相手はできない。……もっとも聞こえていないか、今のこいつらには」
無力化したウサギどもにこれ以上の干渉は行わない。俺の平衡感覚が正常なうちにこの赤い瞳のエリアを抜ける。もちろん宝塔型通信機をオプションに回収させて。
宝塔に殺傷能力など皆無。一時的に奪った視力と聴力を回復させて、奴らが追いかけてくるであろうことはすぐに予想できた。空き部屋に身をひそめて落ち着くのを待ったほうがいいかもしれない。
ぐねぐねと通路を突き進み、なるべくあの場所から離れようとする。どこを飛んでいるのかはよく分からない。とにかく前へ前へ……。
不意に薄暗い部屋を発見する。人の気配もないし、ここに潜り込もうとバイパーを飛ばす。
一際薄暗い部屋であった。先程までの喧騒が嘘のように。そういえば白蓮はどうしているのだろう? 無事にテトランどもを倒して永遠亭のどこかにいるのだろうか?
頭によぎった矢先、宝塔型通信機が光る。声からして白蓮からの通信であることが分かるのだが、ホログラムも音声もノイズだらけであり状況はうかがい知れない。
白蓮「○○さ……次々……コア……きりがな……助け……もう……た……な…………」
くそう、ノイズだらけで聞き取れない。思わず宝塔に耳を傾けてみるが結果は変わらず。どうやらコア系ボス相手に苦戦を強いられているようだ。すぐに手助けしたいところだが、生憎今の俺にそんな余裕はない。次に鈴仙に出くわしたら今度こそ終わりだ。
宝塔を用いて再びフラッシュグレネードとして活用するには魔力を溜めなくてはいけないし、そもそも鈴仙には手の内がバレている。それに今の俺では奴に敵わない。
じっと息をひそめていると背後で何かが蠢いているのを感じた。敵の奇襲かと警戒し振り向いた。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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