(その頃白蓮は……)
周囲がだいぶ暗くなってくる。無言のまま、水晶の体を持ったバクテリアンの戦艦が聖白蓮をその触手で抱きながら、永遠亭の深部へと進んでいく。そろそろ中枢が近いと判断した白蓮は一気に行動に出た。
白蓮「破ぁっ!」
クリスタルコアの触手に抱かれて拘束されていた聖は一瞬の隙をついて片腕を触手の拘束から逃れさせる。白蓮の体がわずかに浮き上がり空中で踊った。
自由になった腕は拳を作り、クリスタルコアの弱点に一直線に振り降ろされた。
白蓮「南無三っ!!」
瓦割の要領で遮蔽板、そしてコアを貫く超人の拳。制御を失い崩れゆくクリスタルコアから白蓮は手早く脱出した。
背後から激しい爆発音。片足で着地した白蓮はそのまま床を強く蹴り、最奥の部屋を目指す。
そして永琳が潜伏しているであろう部屋が開かれる……。その部屋は薄暗いどころではなく真っ暗であった。視覚が役に立たないと悟った白蓮は神経を研ぎ澄ませ、何処から襲ってくるかも分からぬ罠に警戒する。
永琳「ようこそ、永遠亭最深部へ」
紛れもなく今回の異変の黒幕、永琳の声だ。スポットライトの光が突然射してその姿を露わにさせる。音もなくふよふよと浮遊しつつゆっくりと白蓮に近寄る。
白蓮「異変を起こしたのは貴女ですね。この異変で多くの妖怪たちが今も苦しんでいます。どうしてこんな事を……」
凛とした面持ちで挑む僧侶であったが、それを嘲笑うかのようにへらへらと、でもどこか自虐的に答える女医。
永琳「知ってるかしら? 今、幻想郷は書き換えられようとしている。ここ最近様々な力の渦がこの幻想郷にやってきたわ。山の上の神々、そして……妖怪を庇う変わり者の僧侶。このままでは私たちは淘汰されてしまう。だから決めた、再び幻想郷で異変を起こして誰がこの世界の強者足り得るかを見せてやろうとしているのよ。貴女達がそうしてきたように、外の世界の力を借りてね!」
演説しながらゆっくりと浮かび上がる永琳。スポットライトの光が器用に永琳を追いかけていく。
白蓮「そ……そんなことの為に月を隠して、奇妙な機械の生命体を生み出したというのですかっ!?」
永琳「そうよ。誰からも忘れられ、力を失い淘汰される。幻想郷の妖怪達が最も恐れていることだったわね。もちろん私だってそんなのは御免。その破滅の未来から永遠亭を、そして私の可愛い弟子たちを守るためなら、悪魔に魂を売ることすら厭(いと)わない……!」
両者、戦闘態勢を取る。もはやこの衝突は止められない。
白蓮「理由は何であれ、そんな自分勝手なこと、絶対に許しません!」
永琳「生きるという意思を否定するなら、まずは貴女から消えなさい!」
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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