(その頃貴方とアールバイパーは……)
ここはどこだろう? もう罠はないだろうか? しばらく警戒して周囲を見渡す。怪しい気配もないので一度アールバイパーから降りることにした。リデュースを解除してキャノピーを開く。かすかに吹く涼しげな風が気持ちいい。
ここは屋根裏部屋だろうか、格子のついた窓から忌々しい偽りの月が自分を誇張するかのようにギラギラと輝いていた。
こうやって見ると、確かに吸い寄せられるような気分が高揚するような気もする。
黒髪の少女「あの月をずっと見つめていては駄目。狂ってしまうわ」
先程サークルコアから救出した少女が語りかける。かすかな声であったが俺は酷くビックリした。それほど偽りの月に心を奪われていたのだろう。
黒髪の少女「助けてくれてありがとう。でも、ちょっと乱暴だったかも」
リフレックスリングで捉えて無理に引き寄せたのだ。今思えば普通の人間でそれをやったら首の骨が大変なことになっていた筈。ん、ということはここにいるのは人間じゃない???
黒髪の少女「中身は頼りないけど、そっちのイカツイ妖怪は強そうだから及第点ね。さあ、早く先に進みましょう。姫のエスコートだなんてそうそう経験できないわ」
姫!? そういぶかしむ俺を見て、彼女は「蓬莱山輝夜」と名乗ってくれた。俺も名乗っておこう。というか身分的には俺が先に名乗らないとまずかったか……。
貴方「かぐや……姫?」
あのおとぎ話のかぐや姫を思い出す。確かに言われてみればそれっぽい気もする……? えっ、実在するの!?
輝夜「『なよ竹のかぐや姫』って呼ぶ人間もいるわね。気軽に輝夜でいいわ。あなたは恩人だし」
最初こそ驚いたが、次の瞬間にはその事実を受け入れられている俺がいる。俺もだいぶ幻想郷に慣れてきたのだろうか。
輝夜「さあ、早く永琳を止めないと。あのままでは永遠亭……いえ、幻想郷がメチャクチャになってしまうわ!」
貴方「待ってくれ! どうして永琳や偽りの月のことを知っているんだ? お前まさか永琳の……」
「仲間か」と言いかけて口ごもる。だとしたら変だ。輝夜はあんな暗い部屋に縛られて幽閉され、更にサークルコアのエネルギー源に無理矢理されていたのだ。あの扱いは仲間というには語弊がある。
輝夜「あ、あら……私ったら一人で勝手に話を進めてたみたい。わかったわ、追って説明するわ」
外から射し込む月明かりの中、輝夜はぽつりぽつりと言葉を紡いでいく。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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