(その頃、永遠亭最奥……)


自らの存在の為に戦いを挑む月の頭脳とと、妖怪たちのために尽力する魔住職。周囲は真っ暗であり、お互いの頭上から照らされるスポットライトの光のみがこの部屋の明かりであった。

放たれる弾幕はそれは凄まじいものであり、第三者が介入できるようなものではない。

超人化によって素早く動き回る白蓮に対抗するべく永琳は囲い込むように弾幕を撃ちこむ。魔人経巻の文様の軌跡を残して動き回る白蓮は、突如現れた青い弾に囲まれて右往左往した。

その瞬間を永琳は見逃さなかった。逃げ場を失った獲物を仕留めるかのように手にしていた弓をキリキリと引き絞る。弓に矢は番えられていないが、代わりにエネルギー波のようなものが矢の代わりに番えられていた。これも一種の弾幕なのだろう。

永琳「このゲーム、私の勝利ね」

弓から唸りを上げて一直線に弾が発射される。囲われた僅かな隙間でその身をよじらせて凶弾を避けた。直後、囲っていた青い弾が消え、そこから倒れ込みつつ飛び出すように白蓮はその身を飛ばし、反撃を行う。

白蓮「光魔『魔法銀河系』っ!」

再びこちらを囲い込もうと弾をばら撒く永琳であったが、それをすり抜けるように光のレーザーはへにょりへにょりと曲がりながら標的である永琳を撃ち抜く。暗黒の空間で光を散らしながら突き進むレーザーは、周囲を宇宙空間と錯覚させた。

永琳「くっ……」

へにょりレーザーを連続で受けた永琳は遂に膝をついた。相手が戦意を失ったと見て白蓮も着地し、ゆっくりと異変の首謀者へ歩み寄る。

白蓮「八意永琳さん、もう勝負はつきました。貴女の起こした異変で多くの妖怪たちが苦しんでいるんです。さあ、偽りの月を元に戻して下さい」

一瞬恨めしそうに白蓮をにらむ月の頭脳。しかし直後、邪悪な笑みをこぼし高らかに笑い飛ばす。

永琳「ねぇ、あくまで私に味方するつもりはないのかしら? 共に革命を成功させ、新たな幻想郷の支配者になるの。貴女ならナンバー2にしてあげるわ」

白蓮「ふざけないで! 妖怪たちを苦しめたうえでの新たな幻想郷!? 苦しむ妖怪達を踏みにじって得た世界だなんて幻想郷じゃない! 貴女の計画には手を貸せませんっ!!」

珍しく白蓮が激昂する。偽りの月は月の光に依存する妖怪達を酷く苦しめているのだ。彼らを踏みにじった上で異変を成功させる。白蓮がそのような所業を許すはずがない。

白蓮「永琳さん、私は悲しいです……。永遠亭という診療所を開いて、傷ついた人間や妖怪達の為に献身的であった貴女ですもの。もっと聡明な方だと思っていた」

先程の怒りが嘘のように今度はかすれるような小声で言葉をしぼり出す。暗黒の中のスポットライトの効果も相まってまるで悲劇のヒロインのように見えた。

永琳「私こそ……。貴女はもう少し賢い方だと思っていたわ」

次の瞬間、悲しみに暮れる白蓮を突き飛ばし、高く跳躍する永琳。スポットライトの光が懸命に彼女を追いかけていた。

永琳「少なくとも、私に賛同してくれた人はいたわ」

パチンと指を鳴らす音。直後、スポットライトの光が2つ増えた。そこに照らされていたのは妖夢と幽々子であった。

永琳「この冥界からやってきた彼女達は貴女なんかよりも幾分賢かったってことね。私に賛同し忠誠を誓ったのだもの」

紅蓮の瞳を輝かせ、二人がかりで住職に襲いかかってきた。




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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