(その頃、貴方とアールバイパーは……)
夜も更けており真っ暗であるはずの周囲であったが、窓から漏れる月明かりが相手の顔を認識できる程度に照らしていた。輝夜がぽつりぽつりと俺に告げる。
輝夜「永琳……『八意永琳』は一人では何もできない私の世話をしてくれた方なの。親といっても語弊はないかも。本当は貴方のところの住職と同じで優しく、誰にでも慈愛の心を持って接する人だったわ。永遠を生きる月人にとってそれは不変のこと。そう、『あの日』さえ来なければ……」
あの日? 随分ともったいぶっている。今は状況が状況だから分かりやすく説明してくれと言うが、輝夜の口調は変わらない。
輝夜「ある日、永琳が奇妙な生き物を拾ってきたのよ。生き物と呼ぶにはちょっとノッペリとしすぎた……。そうね、○○が使役しているその変な鳥の妖怪みたいに」
貴方「だから『変な鳥の妖怪』じゃなくて、超時空戦闘機『アールバイパー』だ」
輝夜「とにかくその妖怪『チョウジクウセントウキ』の『アールバイパー』さんみたいにノッペリとした生き物だったわ」
貴方「『超時空戦闘機』は妖怪の種族名じゃないっ!」
お約束のツッコミが更にパワーアップしている気がするが、相変わらず姫様のスルースキルは凄まじい。とにかくツッコミばかりでは話が進まないので聞き役に徹することにした。
輝夜「永琳はそのノッペリとした生き物にひどく興味を持ち、いろいろと研究を進めていったわ。そして同じような生き物を創造してしまったの。永琳は機械生命体だとか言っていたけれど、瞳孔のない真っ青な一つ目が恐ろしげだったわ」
なんと、謎の機械生命体が幻想入りをし、永琳に捕まった後で解析されてしまったらしい。そして彼女の手で新たな生命体を創り出してしまった。月の頭脳とも呼ばれる彼女だが、まさかそんな事まで成し遂げてしまうとは……。
輝夜「その機械生命体に呼応するかのように永遠亭の真上に巨大な円盤が現れたわ。恐らく永琳の拾った機械生命体はあの円盤に乗って幻想郷にやってきたようね。もちろんそんなものが空にそのまま浮かんでいたら大騒ぎになってしまう」
ここまで話すと輝夜は窓に目をやった。偽りの月が誇示するかのようにデカデカと光り輝いていたが、目を凝らしてよく見ると満月が、より小さくて謙虚な光を弱弱しく放つ本物の満月が見えるではないか!
貴方「永琳が偽りの月で隠していたのは本物の月じゃない……!?」
輝夜「そう、貴方には知ってもらわないといけない。これから誰と戦うのかをしっかりとその目に焼き付けて。奴の名は……」
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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