いや、他にもルートがあるようだ。

貴方「見てくれ! あっちの閉じた道ではなくてこっちが正しいみたいだ」

レーダーを指さしながら輝夜に説明する。新たに開いたルートの先には強烈なバクテリアン反応が見られたのだ。ゴーファーのもので間違いないだろう。

狭苦しい通路を抜けるとだだっ広い空間に出た。複雑に入り組んでおりレーダーがなければ迷子になっていただろう。敵要塞の深部でこれである。嫌な予感しかしない。

輝夜「大量の座布団がっ!」

四方八方からおびただしい量のザブがこちらに突っ込んできたのだ。くっ……いくらバイパーでもさばききれない……。

すぐ目の前にワープアウトしてきたザブに反応できず俺はぶつかってしまう。

貴方「ぐぁっ……」

バランスを崩した銀翼目がけて次々に突進してくる座布団型の機雷。

輝夜「こういう時こそ『弾幕』よね。○○、私も加勢するわ!」

ザブから逃げるように機体をフラフラと飛ばすと、リデュースを解除し輝夜を射出した。すぐさま美しくも力強い黄金色の弾幕を披露してくれた。板のように押し寄せる弾がザブのラッシュを薙ぎ払っていく。

輝夜「んースッキリ! ○○だけでは心もとないから私も外から援護するわ。感謝なさい」

俺は無言でサムズアップしてそれに応えた。輝夜を置いて行かないように速度を抑えつつ先へ進むと、目の前の床が再び大きく隆起してしまった。同時に背後の床も盛り上がっている。か、囲まれた……!

輝夜「囲まれちゃったわ! どうしよう……。わわっ、天井まで下がってきている!」

こちらを閉じ込めて圧殺しようって魂胆か。いや、確かに天井は下がってきているが同時に床も下がっている。これでは押しつぶされようがない。ひとまず命の危機が来てないことを認識し、俺はため息交じりにつぶやく。

貴方「違う、周りの床が上がったんじゃない。俺たちの周囲が下がっているんだ」

どうやらエレベーターの類であったようだ。円柱型に切り離された小部屋はゴウンゴウンと重低音を撒き散らしながら下へ下へと俺たちを運んでいる。まさかバクテリアンが縦穴を使ってくるとは……。

輝夜「この先にあのゴーファーって奴がいるのかしら?」

それは俺にも分からない。アールバイパーのレーダーはあくまで平面のみを表示するレーダー。機体の上下移動についてはさっぱり分からないものなのだ。答えが返ってこないと見るや、姫様はムスっとふくれっ面になり、エレベーターの中心の柱にもたれかかる。

このエレベーター内には中心を少し外した場所に等間隔に3本の柱がそびえ立っているのだ。それらは半分くらいの高さで一度1本に収束し、再び折れ曲がるように3つに分かれ天井に至っている。変わったオブジェだ。バクテリアンも変な所でセンスを発揮しているな……。

と、感心していたら柱がわずかに動いた気がした。3本の柱のうちの1つが浮き上がったのだ。

貴方「輝夜! すぐに離れろ!!」

こいつは柱なんかじゃない! 要塞の最深部を守護するカニのような機械。こいつは……




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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