至る所から光が漏れ出るゼロス要塞が見えた。この要塞ももう持たないだろう。じきに大爆発を起こす。俺はそれに巻き込まれないように出来るだけゼロス要塞から離れていく。

間もなく、ゼロス要塞はかつてない程の光を散らし、大爆発を起こした。

俺、そしてアールバイパーは、神話の銀翼「ビックバイパー」の紡いできた幾多もの伝説の通り、バクテリアンの脅威から幻想郷を見事救い出したのだ。……だというのに心はやるせない気持ちで一杯であった。

貴方「永琳を……救えなかった……。すまない、輝夜。すまない……」

後ろでは、少女がすすり泣く声が響いていた。俺までも目頭が熱くなり、とめどなく涙があふれ落ちた。ああ、何て顔して地球に戻ればいいんだ……。だが、成功した事も、失敗したことも幻想郷で話さなければならない。

もうバクテリアンの脅威は去った事、永琳は救出出来ずにゼロス要塞の爆風の中に消えていった事……。

俺は無言で地球に戻ることにした。俺には後ろを振り向く勇気などなく、ただただ母なる青い星を目指す。これから何て顔して輝夜に接すればいいのだ……。

そろそろ大気圏に突入する。再び輝夜からサラマンダーシールドを借り受けなくてはならない。正直気まずいってレベルではないのだが、俺は意を決して姫に話しかける。

輝夜「凄い悲しそうな顔。○○だって辛いんだよね」

泣き晴らして目が赤くなった姫は無言で盾を手渡す。アールバイパーが炎の色をしたオーラを身に纏った。

貴方「すまない。謝っても謝りきれないが、すまない。俺は永琳を……」

輝夜「そのことはもういいわ。とても悔しくて悲しい事だったけれど少なくとも永琳は生きている。あのバクテリアンって奴らも復活する気満々のようだし、その時に永琳を助ければいいわ」

あれだけ泣き晴らしていたというのに、今はすっかり立ち直ったらしい。

なんともたくましい精神をお持ちのようだ。それでも迷いの消えない俺に輝夜は「過去なんていつまでも引きずるものではないわ。『今』を、そして『これから』をどうするか、それが大切よ」とありがたい言葉を頂く。

俺なんかよりも、そしてあの白蓮よりも長い時を生きてきた彼女の言葉はとても重いものであった。それだけ輝夜の過去は追っても追い切れないほどに多いのだ。その一言で俺の心は幾分救われたようだ。

輝夜「そう、もっとシャンとしないとね。○○はバクテリアンから幻想郷を救ったヒーローなのだからもっと胸を張らないと。それと、一つだけ約束して。またあの要塞が現れたら私も連れて行く事。まだ永琳を殴っていないわ」

無言で頷くと、気を確かに持ち俺は操縦桿を握り、大気圏へと突入した。



エピローグ

名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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