ゴーファーを撃破して数ヶ月が過ぎ、季節の色が移り変わって久しいくらいだ。
永琳のいない今は鈴仙が代わりに永遠亭を切り盛りしているらしい。俺も心配になって何度か立ち寄ってみたが、彼女は師匠のような立派な薬師になると意気込みはバッチリであった。
そしてゼロス要塞は消えたものの、あの異変以来、幻想郷各地でバクテリアン軍の残党をよく見かけるようになった。表向きには「人間に害為す新種の妖怪」ということで妖怪退治、異変解決のスペシャリストである霊夢が対応に追われている。
もちろん霊夢一人で、さばききれるような状態ではないので俺もアールバイパーに乗り込み、野良バクテリアンを退治するべく出撃する。永琳を救えなかったという罪滅ぼしもかねて……。
今回は人里からではなく、霊夢からの要請であった。強力なバクテリアンが現れて一人では倒せないとのことである。急ぎ現場に急行してみると、おそらく顔があったらドヤ顔なのだろうなぁとカッコつけてる「ビッグコアMk-III」と巫女服のあちこちがボロボロになっている霊夢がいた。
霊夢「ぶっといレーザーでこっちを閉じ込めると、ジグザグに反射するレーザーがすごい速さで飛んできて……」
なるほど、こいつは久しぶりにきつい仕事になりそうだ。さっそく退治しようと巨大戦艦を正面に据えるが、Mk-IIIがもう1機接近してきていた。
貴方「さすがの俺もコイツら2体は厳しいぞ。奴を倒す魔法の言葉を教えてやるからそっちは任せる」
俺は一瞬空を見上げる。確か……よし、思い出した。
貴方「これが魔法の言葉だ。『ううまま、うままう、うまう、うままう』。これで奴も怖くない」
霊夢「ううまま……うまうま? なにそれ? 唱えればいいの?」
頭にハテナマークを浮かべる腋巫女。まあ当然か。もう少し詳しく説明することにした。
貴方「『う』が後ろ、『ま』が前だ。反射レーザーを撃つたびに前後に細かく動けば避けられるぞ」
霊夢「前? 後ろ?? 何に対して???」
あっ……。そういえば何に対してだ? ウェポンゲージの……いやいや、そんなの見えないもんな。俺だって今は見えないもの。な、なんて説明すればいいんだろう。的を得ない言葉をちらほらと口にするがそんなもので霊夢が納得するはずがない。何だかイラついているようにも見えて怖い……。
悶々としていたら2体のコアがレーザーを撃ち始めた。
霊夢「ほんっと図体だけデカくて役に立たないわね。こんなのが幻想郷の危機を救ったってヒーローなの!? 紫はそう言っていたけれど買いかぶり過ぎにしか見えないわ! もう……勿体ないからあまり使いたくなかったけれど……『夢想封印』っ!」
巫女は懐から紙切れを取り出す。妙にカラフルなスペルカードであった。青白い光に貫かれるはずだった霊夢。しかし今は周囲の何物にも干渉しないかのようにすり抜けてしまう。
巫女から発せられる色とりどりの光の球体は的確にMk-IIIのコアに直撃し、大爆発。同時に2機倒してしまった。これはいつぞやの弾幕ごっこでアールバイパーを一瞬で葬った恐怖のスペル……。
つーか一人で倒せたじゃん。まさかスペル使うのが面倒だからって理由で俺を呼び出した? こんの怠け者の巫女がぁ~~~!
憤りを発散するべく胸倉に掴みかかろうとした矢先、宝塔型通信機がビカビカと光り出した。命蓮寺からの通信だ。俺は再びアールバイパーのコクピットに乗り込んだ。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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