(その頃、人里では……)

突如現れた緑色の円盤「ゼロス要塞」。みるみる大きくなるそれは、人々の間ではこのまま幻想郷に落ちてくるのではと噂になっていた。最初は憶測で誰かが何気なくつぶやいた一言。しかしそれは噂となり人々の間で広まっていき、「実は外界からやってきた妖怪が攻めてきた。あの円盤は侵略者の乗り物だ」等の尾ビレをつけながら、瞬く間に人里中に広がる大きな噂となっていたのだ。

里の人間A「ににに……逃げなくちゃ!」
里の人間B「逃げるったってどこに逃げるんだよっ? 下手に人里から離れてみろ、次の瞬間には妖怪どものエサになっているぞ!」
里の人間A「そんなこと言ったって、あんなのが頭に落ちてきてもオダブツじゃないか!」

パニックになり半ば暴徒と化した人々を押さえつけているのは寺子屋の慧音先生や妹紅率いる自警団の皆さんであった。

自警団A「危ないッスから……人里から出ないでくだせぇ!」

里の人間A「あの円盤のほうが危ないだろう! どこでもいい、少しでも遠くに……」

妹紅「外の方が十分危ないぞ! ここは慧音によって妖術で隠されているんだ。空の奴らもここには気付いていないから安心して異変解決の専門家が来るのを待ってくれ!」

人里を抜けだそうとする人間を妹紅と自警団がなんとか取り押さえている。ゼロス要塞の脅威もあるのだが、その前にただの人間が人里から出るのはそれ以上に自殺行為になるのだ。

ところ変わって寺子屋では……。恐怖のあまりシンと静まり返った子供たちでひしめく教室。慧音先生も窓の外に目をやり、今もゆっくりと接近してくる緑色の円盤の様子をうかがう。

慧音「落ち着いて! これだけの大規模な異変、博麗の巫女や妖怪賢者が黙っている筈がないだろう! 彼女たちを信じるんだ」

寺子屋の子供A「いつ来るんだよっ!?」

慧音「そ、それは……」

それは先生にも分からない事。そもそも霊夢が赴くこと自体憶測の域を出ない事であったのだ。ゆえに的を得た答えは返せない。だが、彼女なら絶対に何かしらのアクションを起こす。それだけは確信できていたのだ。もちろんそんな答えで満足する子供達ではない。「いつ来るんだよ?」と口々にする子供達に慧音はほとほと困り果ててしまった。

寺子屋の子供B「あっ! 何か飛んでいってるぞ!」

そんな喧騒の中、一人の子供がゼロス要塞に向かう小さな影を発見した様子。やはり、霊夢がこれを無視する筈はないとひとまず安堵する先生。

寺子屋の子供C「たった一人で立ち向かうつもりなんだ……。あれは巫女か、それとも妖怪賢者か!?」

寺子屋の子供D「いや違う……鳥だ! ノッペリとした変な鳥の妖怪だ!」

子供たちが見たものは異変解決のスペシャリストではなかった。慌てた慧音は窓の傍に駆け寄り夜空の様子を見る。子供達が言うように、あれは人の形をしていなかった。鳥のような、いや、慧音先生はこれが鳥ではない事を知っていた。

慧音「いや、あれは巫女でも妖怪賢者でも変な鳥の妖怪でもない。超時空戦闘機『アールバイパー』だ」

聞いた事のあるようなないような名前。子供達は頭にハテナマークを浮かべる。

慧音「そう、アールバイパーだ。侵略の脅威が母なる星に迫る時、銀翼は時を超えて人類の希望となり飛翔する……。今はアレを信じよう!」

銀色のラインを描き一直線に高度を上げていく。最後に先生はポツリと祈る。

慧音「上手くやってくれよ、○○……」




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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