急ぎ神社に入るのですが、そこにしめ縄を背負った神様はいませんでした。辺りを見回してもその姿は見えません。その代りにいたのは特徴的な帽子をかぶった小柄な神様、諏訪子様でした。
諏訪子「うるさいねぇ。神奈子ならすっ飛んで行ったよ。早苗もあの変な蛇の妖怪がお気に入りなのかい? 私は見ただけで寒気がするよ……」
変な蛇の妖怪じゃなくて超時空戦闘機「アールバイパー」ですっ! 私は気だるそうな諏訪子様にそう訂正する。あんなにカッコイイのに妖怪のはずがありませんっ。どうして飛行機を皆知らないんでしょう?
諏訪子「んなのどっちでもいいよ。それよりも、早苗も行きたいんだろう? いいよ、行っておいで。どうせ止めても無駄だろうし。『シューターとしての血が騒ぐ』とか言って」
そう。私は、いえ私達はつい最近まで外の世界で生活をしていました。こう言うと自慢になってしまうかもしれませんが、外の世界での私はシューティングゲームのプレイヤーであり「奇跡の女性シューター」としてその筋の間ではそれなりに有名であったのですよ。
幻想郷に入ってからはゲームに全然触れていませんが、この幻想郷ではよく似た遊びに弾幕ごっこというものがあるのです。
似ているとはいえ、結構違うこともあるし、何よりも衝撃的だったのは外の世界では男性のシューターが多かったのに、幻想郷での弾幕ごっこは女の子の遊びとして広まっていること。本当に驚きました。
これで挨拶することが幻想郷での常識なのだとか。挨拶はもちろん決闘の手段だったりもする由緒正しいもの。もちろん、霊夢さんにもちゃんと挨拶しましたよ。
さて、諏訪子様から許可もいただいたことだし、私も行ってみよう。大あくびをする諏訪子様に留守をお願いし、私も空を飛び銀翼を追いかける……。
が、その必要はなくなってしまった。御柱に乗った神奈子様が戻ってきたのです。悔しそうな表情を浮かべて。
神奈子「クソッ! 先客がいた。スキマ妖怪と超人住職がアールバイパーを取り合って弾幕していたんだよ。どっちか一人だったらまだ何とかなったが、一度に幻想郷屈指の実力者二人を相手するのは流石の私にも無理だ」
幻想郷屈指の実力者が二人もいたとはいえ、新しいものや珍しいものに目がない神奈子様がこんなにあっさり引き下がるなんて珍しい。一瞬だけ私はそう思いました。そう、一瞬にしてその考えを撤回するに至ることになるのです。
神奈子「仕方ないから部品の一部をちょろまかしてきたよ。誰も拾わないからあのままじゃあ朽ち果てちゃうだろうしね」
誇らしげに語る神様はオレンジ色に発光する円錐型の物体を取り出してきました。こ、これってオプションじゃ……。
とはいえ故障しているらしく頻繁にショートした時のようなスパークを発している。神奈子様、それって泥棒じゃ……。
神奈子「人聞きの悪いこと考えてるんじゃないよ。いいか早苗、私はただ落し物を預かっているだけだ。落とし主がここに来たらちゃんと返すさ。でも、来る前にいろいろ調べるのは構わないだろう? 早苗だって興味あるだろうし」
そこまで言われると私も反論できなくなり、神奈子様はオプションの残骸を手にどこかへ向かってしまいました。
あの日、空からとんでもないものが落ちてきました。そしてその超技術のカケラは守矢神社に、そして幻想郷に新たな風をもたらすでしょう。罪悪感にさいなまれながらも私も好奇心には打ち勝てなかったのです……。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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