信じられないことが起きた。結論から言おう、俺は再び魔理沙に敗れた。誰が信じられようか、切り札たる極太レーザーが2発も発射されるだなんて。1発目のマスタースパークを回避した直後、あの極太レーザーがもう1発来て、フライングトーピードごとアールバイパーを焼き尽くしたのだ。「弾幕はパワー」とは彼女の信条らしいが、いくらなんでもデタラメである。

黒煙を上げ墜落したアールバイパーから這い出ると可愛らしくも憎たらしい勝ち誇った顔をした魔理沙が手を差し伸べていた。

魔理沙「パワフルな技も編み出したようだし、あの時から随分と強くなったじゃないか。そう気を落とすなよ? あんたは十分強い。あの『ゼロス』とかいう円盤の異変を解決したじゃないか」

これだけコテンパンにしておいてこちらを褒めてもフォローの「フ」の字すら成り立たない。

魔理沙「ただ、私のパワーがあんたよりももっと凄すぎただけだ。マスパは2発撃てるんだぜ。恋心『ダブルスパーク』っていうスペルだ。覚えておくんだぜ?」

俺はその手をぶっきらぼうに取ると、よろよろと立ち上がる。くそっ、また負けた……。

魔理沙「分かったからそんな恨めしそうな目でこっちを見るな。そうだ、一緒に無縁塚いかないか?」

彼女の口から物騒な場所の名前が出てくる。無縁塚、訳も分からぬうちに幻想入りし、妖怪の手で殺められた人などのように身寄りのない人間達を葬る場所のことである。俺も白蓮と出会っていなければ今頃あそこで眠っていただろう。

その特性から外の世界とのつながりも強く、外界で忘れ去られたものがこの無縁塚に流れ着くこともあるのだ。確かに新しい武器になりそうなものが漂着している可能性も無きにしも非ずだが……。

魔理沙「香霖もよくあそこに行っているらしい。面白いものがいっぱい落ちているんだ。私も久しぶりに行きたくなったんだぜ」

こちらの意見など聞かずにこの小さな魔法使いは俺の背中をアールバイパーのコクピット入口まで押しやると箒にまたがり飛んで行ってしまった。やれやれ、勝負に負けた身だし付き合うか……。ひとまず外出する旨を白蓮に伝えよう。一度バイパーから離れる。

弾幕ごっこを観戦していたらしく、白蓮さんはすぐに見つかった。というより趣旨をすでに理解していた。

白蓮「すっかり魔理沙さんと打ち解けられるようになったようですね♪ 命蓮寺にいると妖怪ばかりですので人間のお友達は初めてではないですか?」

そういえば幻想郷で人間とここまでお近づきになるなんてことはなかった。

白蓮「止める理由もありません。一緒に行くとよいでしょう。ただし、お夕飯までには戻るように。それとあんまり危ないことをしてはいけませんよ? あとは魔理沙さんはああ見えて結構繊細なので傷つけたりなんかしないように……」

貴方「大丈夫だって!」

聖さんマジお母さん。

白蓮「あ、あらごめんなさいね。うっかり子供扱いしてしまいました。貴方には頼りがいのあるパートナーがもういましたね。銀翼『アールバイパー』とともに幻想郷のあちこちを見て回り、考え、経験を積むのです。それらは貴方だけのかけがえのない宝となるでしょう。それでは……怪我に気を付けて行ってらっしゃい♪」

手を振って見送る白蓮。俺も振り返すと銀翼に乗り込み魔理沙の後を追った。




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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