妖怪の山というくらいだしそれこそ妖怪がうようよいるのだろう。今でこそアールバイパーの整備に精を出しているにとりも、俺が幻想入りしていなければこの山で平穏に暮らしていたはずだ。もちろんにとり以外にも河童はたくさんいるんだろうし、皆が皆友好的とも限らない。そんなどんな妖怪がいるとも知らない場所に行こうというのに止める気配はないのだ。
白蓮「貴方が自分で考えて、そうしようと思ったのでしょう? 止める理由もありません」
確かにこれは誰かに強いられてとかではなく自らがそうしたいと望んだこと。だが、あれだけ危険な区域、俺に切り抜けることが出来るのだろうか?
貴方「でもやり遂げられるか不安なんだ。俺は……弱い」
彼女を前にすると本音を隠せない。希望も迷いも不安も何もかも洗いざらい話すことになるのだ。俺がそれだけ白蓮という人を頼りにしているから……かもしれない。
白蓮「弱くなんてありませんっ!」
そうやってナーバスになる俺に白蓮は一喝。
白蓮「○○さんは自分の手で幻想郷で生きるすべを手にしたし、大きな異変も解決しました。そんな貴方が弱い筈ありませんっ! 今の○○さんに足りないものは幻想郷での経験値。実力が伴っているのは私もわかります。その為にも、貴方は色々な人に会って、いろいろな考え方に触れていくべきです」
なるほど、経験……か。アールバイパーの武装だけではなく俺自身の力にもなる。そう、武器だけ強くなっても意味がないように俺も銀翼を操るに相応しい強靭な心を手にしなければならないのだ。
貴方「それに相手は神社だ。一応商売敵になるはずだけれど……」
白蓮「○○さん、確かに立場上はそうなるかもしれませんが、早苗さんも、あそこの神様である神奈子さんも立派な方ですよ。彼女達から何か学ぶこともあるでしょう。貴方なら無事に達成できます。もっと自分を信じて……。さあ、出発の時は近いです。今のうちにおやすみなさい」
それだけ言うと白蓮さんはくるりと踵を返して俺の部屋を出ようとした。ふと、その歩みが止まり再び俺の顔を覗き込む。
白蓮「私はいつでも、いつまでも待っています。貴方の帰るべき場所は命蓮寺の他にありませんから。逞しくなって帰ってくる日を楽しみにしていますよ。ちゃんと帰ってきてくださいね? 確かにお二人も魅力的な方ですが……私のこと忘れちゃ嫌ですからね!」
何を心配しているかと思えば……。神奈子さんって方には会ってないから何とも言えないが、確かに早苗さんも可愛らしい人ではあった。でも命の恩人を、俺が紫さんに打ち勝つまでかくまってくれた白蓮さんを悲しませることなんてするつもりはない。
貴方「ははは、その心配はないよ」
安心するようにと告げると白蓮は部屋を出ていった。さて、明日は出撃の時だ。今日はもう寝てしまおう。窓を閉めようとするとまた流れ星が光のラインを描いていた。本当に今日はよく流れ星を見る。
さて、もっと星を見ていたかったが、明日は大事な日だ。鬼が出るか蛇が出るか。機体だけでなく俺も知識を吸収し、さらに強く、そしてアールバイパーの謎を少しでも解明するために……今はゆっくりと休むとしよう。
銀翼と妖怪寺TFV IIIに続く……
あとがき
名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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