貴方「よし、アールバイパー発進っ!」

俺の一声で銀翼は鼓動を開始し、地面の呪縛から逃れて浮遊できるはずだ。

だが、声はすれど何も起こらない。どこまでも響く俺の声、むなしい。なんだよ、動かないのかよ。エンジンが不調のようであり空を飛べないのだ。くそう、やはりガレキの下敷きになっていたのでどこかが故障してしまったのだろう。

……よくよく考えたらこれはヤバいぞ。銀翼が動かなければ俺はただの人間。ただの人間が夜の無縁塚にたった一人。妖怪どもに「襲ってください」と言っているようなものである。せめて魔理沙を怒らせなければ……。なんで怒ったのか知らないけれど。

ゆっくり霊夢「お兄さん、帰れないの?」
ゆっくり魔理沙「そろそろ夜。怖い妖怪の活動時間だぜ」
ゆっくり星「えっ、じゃあみんな襲われて食べられちゃうの? そんなのイヤですー><」
れみりゃ「うー、しゃくやー!」

口々に泣き出すゆっくり達。泣きたいのは俺も同じだがどうにかしないと。俺が真っ先に思い付いたのは宝塔型通信機。そうだ、これで命蓮寺と通信して助けを呼ぶんだ。

よし、宝塔をセットしてあとは通信したい相手を口にする。そうすると相手の姿がホログラムで形成されて通信ができるのだ。もっとも命蓮寺のメンバー限定という制約があるのだが、今の俺には大した障害にならない。俺は命蓮寺の住職の名を叫ぶ。

貴方「白蓮、白蓮! 聞こえるか? 俺だ、○○だ。無縁塚でアールバイパーが故障した。日没が近い、すぐに救助してほしい!」

通信機がビカビカと輝きだす。そして白蓮の姿を映すであろう光が……へにょりと曲がってレーザーとなって拡散した。そのうちの1本がれみりゃに直撃しそうになるが大事には至らなかった。

予想だにしない結果に俺はキョトンとしてしまう。こんなこと宝塔型通信機には出来ない。このへにょりレーザーを出せるものといえば……

貴方「コレ本物じゃねぇかァァァァァァ!!!」

どこで入れ替わったのだろうか? これは寅丸星が持っているはずの本物の宝塔。非常にありがたい一品であり、強力なレーザー攻撃を仕掛けることもできるのだが、残念ながら通信機能は持っていない。本物だってわかってたらアールバイパーが埋まる前に使ってたのに……。

とにかく妖怪に襲われたらコレを使えば何とか生き残ることはできるだろう。しかし飛べないしバイパー放っておくわけにもいかないし……。

ネメシスがバイパーを引っ張り上げようとしているがこんな程度で持ち上がるはずもない。コンパクも加勢するが焼け石に水。ゆっくり達はバイパーの上に乗っかって応援歌を歌うがそこに乗られたら逆効果だ。

邪魔になるからとゆっくり達をどかそうとする。1匹、2匹、3匹、4匹、5匹……あれ? ゆっくり達は4匹だったよなぁ。1匹増えてる……。

手にしていたゆっくりは見たことのない奴であり、俺が驚いたのに反応して両腕から零れ落ち、ふわりとひとりでに浮遊した。

貴方「ぎゃあっ! 空飛ぶゆっくり!」



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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