未知の生首「ゆっくりじゃない。赤蛮奇」
暗めの声で自己紹介する赤毛に青いリボンの生首。
そうしているうちに赤毛の生首が次々と現れこちらを取り囲んだ。そして最後に同じく青リボンの生首を脇に抱える首なしの胴体が俺の目の前に現れる。
もうおしまいだ……。あの冷たい視線はとても友好的に見えない。このままろくろ首に襲われて俺は食われてしまうのだ。ああ、せめてアールバイパーが動けばこいつと戦って、たとえ勝てなくても逃げるくらいはできたのに……。
生身で逃げようにもあちこちで生首に睨み付けられて恐怖で動けない。何か……何か突破口は……? そうだ、宝塔だ。宝塔のレーザーでこいつらを撃退して……
ゆっくり霊夢「セキバンキお姉ちゃーん!」
震えながらも宝塔を取り出そうとする俺の足元をゆっくり霊夢がスススと通り抜けると赤蛮奇に抱き付いた。
赤蛮奇「よしよし、こんなところまで遊びに行っていたのか? 怖かったろう?」
途端に柔らかな目つきになるとゆっくり霊夢を撫で始める。他のゆっくり達も彼女のもとに駆け寄っていく。まるで迷子になったペットと飼い主の感動の再会のようだ。生首だらけだが。
赤蛮奇「さて、この子たちがここまで遊びに行っていたのか。それともそこの不埒な男が誘拐していたのか、体に聞いてみるかねぇ?」
ゆっくり魔理沙「乱暴はダメだぜ? こいつはヒーローなんだ」
ゆっくり星「そうでーす! ゆっくり達のこといじめてくるクモさんと勇敢に戦ったんです」
れみりゃ「かっくいいの! 銀色の翼を持った鳥の妖怪さん! うー♪」
口々に俺の潔白を証明するゆっくり達。怪訝な表情でこちらを睨むろくろ首。浮遊する首がこちらに近づくと懐疑の目でジロリとこちらを凝視する。そんな中、ゆっくり霊夢が再び俺に抱き付く。取り落とさないように俺はキャッチすると頭を撫でた。
ゆっくり霊夢「お兄さんは悪者じゃないよ! こんなにやさしいんだもん」
それだけ聞くと空飛ぶ生首は持ち主の傍らにまで戻る。表情も幾分穏やかになったようだ。マフラーのせいで口元は分からないが。
赤蛮奇「そう、疑って悪かったわ。そして私の可愛いペット達を守ってくれて……感謝する」
ペコリと首を垂れると頭がポロリと零れ落ちた。一瞬ビクっとなったが、同じ手は2度も通用しない……、しない筈だ。いや、本当はビックリした。その反応を見て彼女の目がわずかに笑った気がした。してやったり、と。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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