???「何してるのっ!」

外野からの怒声。ブラスターキャノンコアはその声に驚いたのか攻撃をやめてしまった。ネメシスも狙いを外して暴発。戦闘は中断された。

声のした方向を振り向くと二人組の少女がいた。声を上げたのは帽子を被ったほうだろう。口をへの字に曲げて腰に手を当てて威嚇している。少し控えめに立っている後ろの少女は、紅葉型の髪飾りと裾がやはり紅葉っぽいワンピースが特徴的な子であった。どこかからかほのかに甘い香りが漂った気がした。

帽子の少女「芋コアちゃんはケンカしにここに来たんじゃないでしょう! おいしいお芋作るんでしょう?」

芋コアってのは、おそらく自分よりもずいぶん小さい少女に怒られてうなだれているブラスターキャノンコアのことだろう。元になったゲームでこのボスキャラと一緒に出てくる隕石がジャガイモに見えるのでそういうあだ名を持っているのだ。あの少女がどういう経緯でそういうあだ名をつけたのかは知らないがなかなか的を得ている。

紅葉の少女「穣子、それくらいにしてあげようよ。芋コアちゃん、怖がってるよ?」
穣子「静葉お姉ちゃんは黙ってて!」

どうやらあの色々と秋を彷彿させる少女たちは静葉と穣子という姉妹であるらしい。その穣子が今度は俺に詰め寄ってきた。

穣子「それで……どうしてこの子に乱暴したの?」

心外な。こいつから攻撃を受けたから反撃をしただけだ。俺は彼女にそう告げた。俺を見てすぐに殺そうと武装を展開してきたのだから。

まあ俺もゼロス要塞を爆破させたのだ。バクテリアン達に恨まれるのはごく自然であるし、致し方ないとも思っている。事実、無縁塚のグレイブもまさに怨念の塊といった状態であった。

穣子「それじゃあ戦意はなくて絡まれたってことね? 芋コアちゃんったら銀色の空飛ぶもの見るたびに目の色変えるんだものね……。とにかくこの子が危害を加えたのなら謝るわ」

ペコリと一礼する姉妹。あまりに拍子抜けした真実に俺はいまだに唖然としていた。

先ほどの戦闘でほどよく耕された地面に芋コア……もといブラスターキャノンコアは種芋を埋め込んでいる。あのアームを用いてなのでかなり広範囲だ。その間にこの姉妹ともいくらか会話を交わした。

彼女たちは秋をつかさどる神様の姉妹(姉の静葉が紅葉の神様、妹の穣子がいわゆる豊穣の女神)であり、穣子は特に芋が大好物なのだという。

そんな中リーダーであるゴーファーを失い、見知らぬ土地で行く当てのないブラスターキャノンコアが穣子と出会い、芋繋がりで意気投合。こうやって農耕に精を出すようになったのだとか。

穣子「そういうわけで芋コアちゃんは悪い子じゃないからケンカは駄目よ?」

平和に農業にいそしんでいるだけなら俺もコイツを始末する理由はない。これも白蓮の夢見る妖怪にも優しい幻想郷の一環であると思えば不思議と心も安らぐものだ。

俺はバクテリアンが必死に幻想郷との共存の道を進む様を尻目に妖怪の山へと潜入するのであった。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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