指示通りに着陸させると、にとりを筆頭に多くの河童たちが群がってきた。
にとり「こらこら、これ以上近づいちゃダメだって。ってそこ! 触るなー! そっちもその物騒なスパナはしまうっ!」
いつも変な鳥の妖怪呼ばわりなのだが、河童たちにはこれが機械であることがわかるようで、興味津々といったところか。
貴方「ところでお前、命蓮寺はどうした?」
にとり「河童専用の水路で実家と行き来できるようにしたんだ」
そういって彼女が指さすのは地面に突き刺さった緑色の土管。あの中は水で満たされているうえに複雑な構造をしているために河童以外の種族ではとても使用できないものらしい。で、もちろん戸締りも完璧なので他の河童が勝手に使うこともないのだとか。
にとり「この前里帰りした時にアールバイパーの話をしたらうらやましがられてさ。ぜひ見てみたいってみんなが言うからここに呼び寄せたのさ。ああもちろん補給とかはするよ。それとちょっとしたプレゼントも……ね。見学の対価だと思ってくれ」
ちょうど芋コア……もといブラスターキャノンコアと交戦していたので多少消耗をしている。アールバイパーの整備中に機体から降ろされると握手を求める河童や勝手にコクピットに乗り込もうとしてにとりに止められる河童などがおり、非常ににぎやかであることが分かる。今もにとりの悲痛な「やめろよーぅ!」という声が響き渡っている。苦労してるなあの子も……。
俺は俺で他の河童に誘われ発明品の品評会につき合わされたり、やたらみずみずしいキュウリを振舞ってくれたりと随分と丁重にもてなしてくれた。
ただ、皆が「尻子玉」と呼ぶ食べ物だけは口にする気が起きなかった。人間の尻から抜き取ったものではなくて、あくまでそういう名前をした普通のお菓子ではあるようだが、やっぱりねぇ……。
俺がいらないという旨を伝えると一瞬驚いたような顔をしていたが、高級品だったらしく、他の河童たちがうまそうに平らげてしまった。
そうしているうちにバイパーの整備が完了。新品のように綺麗になっており思わず声が漏れる。そして先端に先割れ部分がわずかにコンモリしている気がした。どうしたのかと河童に聞いてみる。
にとり「バイパー用の近接兵器『リフレックスリング』と『レイディアントソード』の2つをいつでも使えるようにしたんだ。ずいぶんと使い込んでいるようだし、いろいろな武装を取り戻したり使用したりすることでアールバイパーの謎を解明する手助けにもなるだろうしね」
すっげぇ! 整備だけではなく強化までしてくれたのか。喜びのあまりにとりの手を取り大きく振る。ずいぶんと大げさな握手である。
これだけもてなしを受けたのだ。何としても目的を達成せねば。気持ちも新たにふたたび頂上目指して飛び立つことにした。多数の河童たちに手を振られながら。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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