河童の集落からさらに上流へとさかのぼる。

ゆったり広々とした流れは次第にその幅を狭め、そしてより激しい流れになっていく。もはや知能を持った生物が生活している様子はなく、河川以外だとはるか下方に細々と続く獣道くらいしか見つからず、人の入り込む領域を大きく越えているのだなという実感もわいてくる。

そして切り立った崖が見え始める。集落の河童たちが口々に「九天の滝」と呼んでいたものであろう。つまり天狗のテリトリーも近い。うっかり無断侵入しないように警戒しつつ飛行を続けることにした。

さて、どこかに関所のようなものがありそこで手続きを済ませれば神社への参拝、つまり早苗さんとコンタクトを取ることは可能になるわけだが、いかんせん、木々と岩場だらけの山肌からその門を見つけるのは至難の業である。

貴方「どこだよ……」

あまり滝に近づくと危険であろうからその周囲を迂回するようにそれらしきものを探し続けるが一向に成果はあがらない。こんなところで時間を食って夜になられてはたまったものではない。何とかしないといけないのだが……。

と、空を仰ぐと鳥ではない何かが浮遊しているのを見かける。真っ白な犬のような耳を持ち、やはり見事な尻尾を生やした少女のようだ。それが空を飛んでいるのだから恐らく妖怪の類だろう。天狗と言えば文を連想するが、それとは少し違う容姿。だが、こんなところを我が物顔で飛べるのははやり天狗に準ずる存在なのだろう。武骨な剣と盾で武装しているし、おそらくは見張り役なのであろう。

どうするか、天狗であれば彼女に道を尋ねるという選択肢も取れるだろう。うまく意思疎通を取れれば、安全にしかるべき処理を行うことが出来るだろう。しかし不用意に近づいて侵入者だと思われたらこの後に起きるであろう惨劇はまず避けられない。

さて、どうするか……と頭をひねる前にあちら側から俺の姿を認識、接近してきた。

貴方「すまない。守矢神社に向かいたいんだが、関所がどこにあるのかが分からない。出来れば案内を……」

犬耳の少女「未確認飛行物体発見! これより排除します!」



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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