俺の悲痛な叫びもむなしく掲げられたスペルカード。ようやく本気を出すといったところか。さあ、どう来る? 身構え、来る弾幕に備える。
だが、いつまでたってもその時は来なかった。なんだ、不発なのか? 不敵な笑みを浮かべる白狼天狗がなにか怖い。どこから来るんだ? どこから……
見えたっ、それは椛のはるか後方。まるで牙を見立てたようにギザギザに撒かれた弾の壁。あれが大挙してこちらに突っ込んでくるのだ。なるほど、バイト(噛みつく)だけあって牙をモチーフにした弾幕だったのか。
俺は冷静に弾の隙間を見つけると掻い潜るようにやり過ごすことに……しようとして何かがおかしいことに気が付く。噛みつくのだから当然牙が片方だけではおかしい。今俺が見ているのを上あごだとすると下あごもどこかにあるわけで……。まずいっ!
改めてレーダーを見ると背後からも魔力の壁が迫っているではないか。そしてそれは上あご側の隙間を埋めるように配置されている。レイディアンソードで弾幕を斬りつければ……いや、牙状の弾幕が分厚すぎて対処しきれない。これでは回避不可能だ! どうする……。
焦り再び周囲を見渡すが安全そうな場所は見当たらない。つまりこの顎に囲まれた時点で俺の敗北は確定……いや、一つだけ安全地帯がある。椛のすぐそばだ。もしも本当に隙間なく配置されているのであれば他でもない椛が自滅してしまうのだ。きっとそれを回避する手段があの傍らには用意されているに違いない。
剣を扱う椛に接近することは賭けになるが、やるしかない。狭まる空間、俺は速度を限界まで上げて椛に急接近。案の定その無骨な剣を振り回し始めた。大剣にはさらに巨大な剣だっ……!
貴方「銀星『レイディアント……」
アールバイパーの翼をかすめるように牙が突っ込んでくる。白蓮さんの用意してくれた高級な紙質のカードを高々と掲げ、さらに椛との距離を詰める。
貴方「スターソード』!」
青いワイヤーフレーム上の剣を左右に展開。椛を挟み込むように斬撃を食らわせる……が、とっさに出た盾に防がれてしまう。さすがに勢いはあったので弾き飛ばすことに成功したがこちらの剣はバラバラと崩れ落ちてしまった。
そうしているうちに椛の牙が再び生成される。もう一度噛みつくつもりのようだ。レイディアントスターソードは砕けてしまったし接近戦は不可能。ツインレーザーもフライングトーピードもあの盾の前には無力。ならば……その盾を使わせてもらうっ!
逆回転リフレックスリングの吸引機能であの盾をもぎ取ってやろう。兵装をリフレックスリングに換装すると逆回転で発射。案の定椛はガードするべく盾を構えた。よし、かかったぞ!
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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