貴方「お前の盾をいただきだぁー!」

腕から紅葉柄の盾がすっぽ抜ける。リングをそのまま引き寄せると、盾がアールバイパーの前方にセットされる。視界が悪くなったが、おそらくはあの牙を模した弾幕にも耐えられるだろう。

強引に椛と距離を取りつつ迫る牙を勢いだけで突破。確かに弾幕から身を守ってはくれた。だが、このままではショットも撃てないしどう反撃するか……。

こんな状況は前にもあった。どんな時だ? 魔理沙をブン投げた時、瓦礫を放り投げた時……。そうか、コイツをそのまま椛にぶつけてやればいい。

その前に迫る牙を何とかしないと。だが、確信を持てた。弾幕の防御と投擲を同時にこなす術があることを。

俺は再びリフレックスリングを射出。伸ばした状態で機体をハンマー投げの要領で回転させる。最初はゆっくりと、そして次第に勢いをつけて。盾に当たった牙状の弾幕はかき消されていく。

椛「何、何をしようというの?」

自らを襲う牙から己が身を守り切った俺は狼狽する天狗に狙いを定めリフレックスリングの回転方向を反転。勢いよく椛に持ち物を返す一撃となった。これぞスペルカード級の一撃。なんだ、強くなる鍵はこんな身近にも転がっていたのではないか。ならば高々と宣言してやろう。

貴方「これが俺の新スペル。陰陽『アンカーシュート』!」

陽気な妖怪「ムラサ」からヒントを得たリフレックスリング。普通(陽)に回転させればリングからも弾を撃てて、逆回転(陰)させれば色々なものを引き付けることが出来る射程距離こそ短いけれど便利な兵装。陰となり脅威を集め固め、そして陽に転じてそれを一気に放つ。カッコいいこと言ってるけど、要はやってることはジャイアントスイングなんだけどね。

ゴウと唸りをあげて残りの牙を吹き飛ばしつつ、紅葉柄の盾は椛にクリーンヒット。剣で試みた防御もむなしく綺麗にヒットしたのだ。パカーンと甲高い音を立て、椛は崩れ落ちた。

大人しくなったのを確認したのち俺は武装を解除。本来の目的を果たすべく椛にゆっくりと近づく。

貴方「だから俺は戦いに来たんじゃなくて関所を案内してほしくて……」

椛「私では手に負えません。一度離脱します!」

それだけ言うと紅葉を巻き上げながら姿を消してしまった。むう、逃げられたか。恐らく俺と交戦したという情報は他の天狗にも知れ渡ってしまうだろう。だとすると関所どころではないな……。事情を分かってくれそうなのは射命丸くらいだが、彼女に会えるかどうかもわからない。とにかくこの場所にとどまるのは愚策だ。このテリトリーを抜けるにしろ和解するにしろ解決に向かって動かないと!



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

お気に入り登録登録済み一覧

セーブデータ
新規登録・ログイン・マイページはこちら