はたて「しまった、あいつを確保しないと!」

レーダーを見るとやはりというか、はたてがこちらを追いかけているのがわかる。白狼天狗程度ならなんとか振り切れるようだが、鴉天狗となるとそうはいかない。秘密裏に連絡を取り合っているのだろうか、おそらく鴉天狗のものであろう魔力があちこちからこちらに迫ってくるのがわかる。

あの黒い羽根を持った天狗ども相手にスピード勝負では敵わない。このままではいずれ捕まるのは必須。そもそもアールバイパーにこんな多方向を対応するすべなど持ち合わせていない。この状況を打開するには散らばっている標的を何らかの理由で狭い範囲でまとめ、一気に行動不能にするほかない。

そしてそれがあまりに無謀なことであることは大して考えずとも俺には理解できた。こんな開けた山岳地帯に天狗がわざわざ固まって行動せざるを得ない場所なんて……いや、一つだけあった。山の妖怪たちが「九天の滝」の呼んでいる大きな滝を利用するんだ。

目視で滝の場所を確認すると大きく迂回するように飛行。山肌ギリギリまで詰めて方向転換。この時点でスピードを上げ過ぎた何人かの鴉天狗が山肌に衝突して行動不能に。機体を縦に傾け山肌に沿うように高速で飛行する。少しでも腕を誤れば銀翼も無事ではあるまい。

着実に滝との距離を縮めていく。そして鴉天狗どもは俺の目論見通り山肌をそって追いかけていた。そして容赦なくこちらを撃ち落そうと放たれる弾。最低限の動きでこれを細かく避けていくのだが、なにぶんこの速度でこの体勢。レイディアントソードを使う余裕もないし、回避行動は困難を極めている。このまま弾幕にさらされ続けるといずれ被弾してしまう。間に合えっ……!

ザアザアと水が絶え間なく落ちる音が聞こえてきた。そうかと思うと俺は九天の滝の裏側にもぐりこむことに成功できたらしいことがわかる。そして同じく滝裏に突っ込む鴉天狗たちも……。よし、今しかない!



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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