剣を振るう風の音、そしてシャッターを切る音。それらがほぼ同時に鳴り響いた。
貴方「……あ、あれっ!?」
急にバイパーの挙動がガクンと落ちた感じといえばいいのだろうか? なんと表現したらいいのだろうか、全身から力が抜けるというかなんというか油断するとそのまま意識を失うかのような……? あと視界が一瞬暗くなったかのような錯覚も覚える。うう、意識がもうろうとする。いったい何が起きたんだ?
はたて「昔々、カメラに撮影されたものは魂を抜かれるって迷信があったそうね。コレ、こういう使い方のできるのよ。取材用じゃなくていわゆる戦闘モードってやつね。とりあえず動けないようにしてからただの道具に戻したげる」
滅茶苦茶だ。あれは魔力をスポイルする上に魂を抜くカメラだという。おそらく撮影された時に生体エネルギーを奪われたのだろう。確かに何度もくらっては命が持たない。逃げないと、こんなの相手にするのは自殺行為だ。だが、どう逃げる? 身を隠す場所も鴉天狗を振り切る速度もないのだ。
せめて入り組んだ地形があればまだ希望はあったが……。仕方ない、いい案が出るまで時間を稼ぐか。そう思い、一定の距離を置いて、でも何をしていいのか分からないのでじっとする。だが、次のアクションがなかなか来ない。さすがにあの化け物カメラもそう何回も使えるものではないらしい。
つまり一度カメラを使わせて間髪入れずに追撃をかませば……。
貴方「操術『オプションシュート』!」
もう一度ネメシスを突撃させる。やはり構えるカメラ。そして筋書き通りにシャッターを切る。
貴方「コンパク、お前も突っ込めぇー!」
間髪入れずにもう一度突撃を命令。ビンゴだ、カメラの準備が終わらぬうちにコンパクが突進。避けようとするもこいつは標的をしつこく追い掛け回す。そしてついにドテっ腹にコンパクの一撃が入る。
はたて「ひっ……!」
だが、これだけでは終わらせない。エネルギーの尽きたネメシスとコンパクを回収しがてら、俺は再びレイディアントソードを構える。怯むはたてに接近すると青い剣を一閃……!
背後で甲高い悲鳴と爆発音が響く。レイディアントソードを格納すると振り向き、標的を撃破したことを確認。はたての手にしていたカメラはバチバチとショートしていた。あの調子では修理は必須だろう。
貴方「危険なカメラは処理させてもらった。もはや戦う手段もあるまい」
勝ったのだ、鴉天狗に。カメラのないブン屋など恐れるに足りない……筈なのだが様子がおかしい。
はたて「よくも……よくも……! 河童のオーダーメイド、完全防水性だったのにぃー!」
天下の天狗がこんなにもあっけなく倒れるはずがなかったのだ。食い掛からんという勢いでこちらに一瞬で詰め寄るとアールバイパーを殴打。大きく煽られ機体バランスを崩してしまう。
まずい、今の俺はスキだらけだ……!
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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