空中でフラフラとする銀翼にさらなる追撃を行うべくはたてが動きに出る。さらに別の翼をもった天狗が接近していることがわかった。もはやこれまでか……
文「はたてさーん、探しましたよー!」
突き抜けるような声。この快活な声を持つ天狗といえば……文だ! 何とかバランスを取り、俺は文に懇願する。
貴方「文、天狗たちの間で俺が付喪神だと思われているらしいんだ。違うってことをこの子に教えてやってくれ!」
これで、これで誤解が解けるはずだ……。わざとらしくフムフムと相槌を打つと怒れるはたてをなだめるように文が歩み寄る。
文「はたてさん、これはアレですよ、アレ。今幻想郷で最もホットな妖怪『チョウジクウセントウキ』ってやつです」
だからアールバイパーは妖怪じゃねぇっ! 誰にも気づかれず、俺は一人でコクピット内でずっこけた。
はたて「そんなまさか? だって乗り物だって自分で言ってたし……」
文「あーあー、これだから引きこもりは困るんですよ。バクテリアンの異変、解決したの彼なんですよ? あの日の文々。新聞、読んでないんですかぁ~?」
ニヘヘーっと笑いながらむくれるはたての頬を指でツンツンする文。見たところこの二人は友達であるらしい。その後、はたてが「誰がライバルの新聞を定期購読するのよっ!」と返していた。なるほど、切磋琢磨する仲なんだな。
貴方「とにかく、俺はここを抜けて守谷神社に向かいたいだけなんだ」
はたて「これだけ盛大に人のテリトリーで暴れておいて、そのままみすみす見逃す気?」
うう、やはりダメか。だが、具体的に何をすればここを通してくれるのか……?
文「うーん。はたてさん、わかってないですねぇ。何も『タダで』だなんて言っていないのに。○○さん、ここ最近、道具の付喪神化があちこちで確認されて困っているのは、はたてさんの言う通りなんです。空から隕石が降ってくるのと関係があるのかもしれませんが詳しいことは我々にも……。でっ! あなたにお願いしたいのですが……」
心がこもっているのかどうかも怪しいが、両手を合わせてお願いする文。その直後地面を大きく揺るがす轟音。何やら巨大な物体が地面を蹴破って出てきたのだ。しかしその後地上に出ることには失敗したのか、再び地中へと姿を消してしまった。
文「河童に借りていた削岩機が付喪神化しちゃいまして、止めてほしいのです。我々では手に負えなくて……ねっ? なんか今のはたてさんマトモに戦えなさそうですし」
ううむ、付喪神が暴れていること自体は本当のようだ。確かに俺の手で仕留めれば少なくとも奴らの仲間ではないことを証明できる。
はたて「むぅ……分かったわ」
不服ではあるようだが条件をのんでくれた。
銀翼と妖怪寺TFV IV 後編に続く……
名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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